初めて「予断を許さない」というフレーズを聞いたのは、昭和天皇崩御の直前だった。毎日宮内庁が発表していた天皇陛下の病状に関する医師団の報告に、この言い回しはよく使われていた。私は母国語が日本語ではないが、当時の状況と漢字の意味から、日常会話にあまり聞かないこの表現の大体の意味をつかんだつもりだった。日本語によくあるファジーかつ便利な表現だ。 3月の大地震後、菅直人首相は福島原発の状況に関してこの表現を何回か記者会見で使っている。首相は「状況がこれからどう展開して行くかはまだ完全に予想できない…」という慎重な、同時にやや東京電力に対して距離を置くスタンスを表現したかったはずだ。 首相官邸のウェブサイトに首相の記者会見録の原文とその英訳が載っている。 3月25日の記者会見で、菅首相はこう発言した: 今日の福島第一原子力発電所の状況は、まだまだ予断を許す状況には至っていない。 首相官邸で作成され