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ポストモダンに病んで/夢は枯れ野をかけめぐる。 (『CUT』2000 年 08 月) 山形浩生 いや、ぼくは本当にすごいと思ったのだった。高校時代に伊丹十三編集の「モノンクル」という雑誌でロラン・バルトなんかに触れて、そこから構造主義言語学とかもちょっとかじったのだった。ふーん、ことばは構造的に決まっているのか。意味とことばを写像で記述したら、言語のエッセンスが抽出できるんじゃないかな、とかぼんやり思った。政党をベクトル化してその和で政治動向を予測できるんじゃないかとか、高校生のぼくはそんなことばっか考えていたのだ。学校で習う社会や国語は、羅列ばっかでつまんなくて、もっと本質がえぐり出せんのかと思ってたんだもの。だから、ポストモダン思想家の話をきいて、ホントにすごいと思った。ジュリア・クリステヴァが詩的言語を厳密に数学的に定式化した? おお、やっぱできるんだ! ジャック・ラカンは無意識の言
肩をすくめるアトラス。 (『CUT』2000 年 05 月) エイン・ランド。アイン・ランドと読む人にも会ったことがあって、どっちが正しいのかぼくは知らないのだけれど。(注:「アイン・ランド」が正しい。失礼)アメリカ人のインテリ層の 1/3 くらいは、人生のどこかでこのおばちゃんと何らかの対決を迫られる。有名どころだと、いまのアメリカの連邦準備銀行親玉のアラン・グリーンスパンは、ランド信奉者(でもないけれど非常に好意的な人)として有名だな。(注:その後調べてみると、なんか彼女のセミナーに夫婦そろって出入りしたりしていて、本人ともかなりつきあいがあったとか)そしてそのランドおばちゃんの、全身全霊をこめた大思想小説が、Atlas Shruggedというこのすさまじい小説だ。 (注:その後、このAtlas Shruggedの翻訳が決まったそうで、とりあえずはめでたい。だがその翻訳者から 2001
未来図書目録 アイン・ランドとは誰か 『インターコミュニケーション』 2002年Spring 橋本努 書きたい本や企画したい本ならたくさんある。しかしそういう話は直接出版社に持ち込むことにして、今回はニューヨークに関係する内容に絞りたい。まだ翻訳のないアメリカの女流作家、アイン・ランド(1905-1982)について紹介したいのである。 アイン・ランドと言えば、40年代にはハリウッド映画やミュージカルのシナリオ作家として、50年代には国民的な大衆小説の作家として、また60年代以降はリバタリアニズムの政治思想を代表する哲学者として、アメリカではかなり有名になった女性である。逞しく、美しく、しかも破天荒な人生を送ったヒロイン的存在である。現在でもニューヨークの書店では、哲学や文学のコーナーに必ずといっていいほど彼女の本が数冊並んでいる。出版社ランダムハウスによるアンケート結果(1998)では、「
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