大分前だが、「バブル期以来の収益を挙げた邦銀は儲け過ぎ批判を気にしている」との新聞記事があった。邦銀収益のカラクリについては、引当金の戻りが大きく寄与し、「貸出増大・預貸利ザヤ拡大」という健全なものではないことは過去のエントリーで何度か書いたとおりである。ここでは、収益規模を過去と単純比較することが正しいかどうかについて考えてみたい。 まず、バブル期と今とで違うのは、会計基準が透明化したことだ。不透明な時代の会計基準に基づく「収益」と、透明になった基準による「収益」を比較する場合、隠れた部分の収益を勘案する必要があるのではないか。 ご存知のように、バブル期の銀行は「膨大な土地・株式の含み益」を抱えていた。この「含み益」を力の源泉として邦銀が海外市場に低利融資の攻勢をかけ、シンジケートローンなどの利ザヤが叩きつぶされたわけだ。「(邦銀のせいで)儲からないからやめる」と言ってシンジケートローン