2011年のノーベル経済学賞は、トマス・サージェントらが受賞したが、その功績の一部については昨日エントリーを書いた。そこでサージェントのレジーム転換の重要性について説明をした。サージェントらでは、ハイパーインフレーションや緩やかなインフレーション(イギリスの経験)に適用したものが初期の業績で著名である。このサージェントの政策レジーム転換を、デフレーション(デフレ)の経験に応用したのが、経済史家のピーター・テミンである。テミンの代表的な業績『大恐慌の教訓』は翻訳も出ている。 故・岡田靖は、かってこのテミンの『大恐慌の教訓』に意義について、私たちが編集した『エコノミスト・ミシュラン』の中で解説している。以下ではそれを逐次引用して、本書の意義とサージェント流の政策レジーム転換との関連をみていく。 「1930年代にアメリカ経済を襲った大恐慌と、それに前後して世界の主要国の大部分で起こった世界大恐慌