工場における製造設備の能力はふつう、『時間』で測る、というと驚く人がよくいる。製造能力というのは、1分何個とか、1時間何台とか、1日何トンとか、数量で測るのが当たり前ではないか。そう、思うのだろう。たしかに、ある特定機械の単機性能を比較するなら、それでいい。しかし、複数の製品を生産する工場全体の能力計画を立てるときには、それではうまくない。工場内には、大きさも複雑さも異なる部品・材料・製品が同時に数多く流れているからだ。同じ機械が、小部品なら時間10個作れるが、大部品だと3時間で1個しか作れなかったりする。そんなときに、部品の合計個数で計算したって、ネズミ1匹とゾウ1匹を合計2匹と足し算するようなもので、意味がない。 だから工場の能力計画では、逆に作業時間(機械設備の占有時間)に換算して、足し算するのである。たとえば今日はこの機械で、ネズミ部品30個と、ゾウ部品4個を加工しなければならない