今回紹介するのは認知症に関連する脳波リズムと脳のクリーニングに関する話題である。2016年に書いた第61回「脳の掃除は夜勤体制」のその後のブレークスルー研究の話を紹介したいと以前から考えていたのだが、すでに5年前の2019年に「Science」誌に掲載された研究であるため、いささか「古いネタ」になってしまい紹介しそびれていた。ところが今年3月に、米国マサチューセッツ工科大学が「Nature」誌に発表した非常にユニークな研究が正にこの領域に関するもので、相互に深い関連があるので改めて一緒に紹介したい。この領域とは脳のリンパ系である「グリンパティックシステム」である。 つい最近マサチューセッツ工科大学の研究者らが、アルツハイマー病モデルマウスを飼育箱に入れて、40Hzの発光ダイオードによる光刺激と、同じく40Hz/60デシベルの音刺激を同時に1時間与えたところ、脳内に蓄積したアミロイドβの除去
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