昨秋、米国政府が金融機関への資本注入に踏み切ったとき、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のCEO、ケネス・ルイス氏は大見得を切った。「そんなカネは必要ない。欲しいと言ったこともない」。 業界のために不承不承受け入れてやる、と言わんばかり。シティグループに対する“当てこすり”でもある。シティは資本注入に加え、3060億ドル(28兆円)の資産について将来、損失が発生したら政府が補填するという支援を取り付けていた。 対照的に、バンカメは(そのときは)政府資金に頼ることなく、住宅ローン最大の貸し手・カントリーワイド、続いてメリルリンチを救済買収することを決断、「金融界の救世主」として拍手喝采を浴びていた。 そのルイス氏が豹変した。「カネを出さなければ、メリルの買収を白紙に戻す」と財務省を“恫喝”したのである。破談になれば、立ちどころに国際金融市場が大迷走する。 財務省は200億ドルの再度の