初代ウォークマンの報道向け発表会で、ソニーは新しいライフスタイルを提案するため、自転車やスケートボードを使ったデモンストレーションを行った=昭和54年、東京・代々木公園(ソニー提供) □世界の景色を一変させたTPO問わず、好きな音楽“独り占め” 作家の椎名誠は、昭和55年の『文芸春秋』5月号に「35歳のウォークマン戦記」と題した文章を寄せている。ソニーの携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」を聴きながら電車に乗ることを「勇気がいる」とした上で、「ウォークマンをつけて動く景色をみる、ということはまさしく“映画的”そのもの」と指摘している。 〈へんてつもない武蔵小金井駅も、小雨にけぶる南フランスあたりの、愛と哀しみに満ちた別れのプラットホームのようにも見えてくる…〉 椎名の見た“映画的”景色は、今や自然な体験として人々に受け入れられている。町で電車で、ひとり音楽を楽しむ人はすぐ見つかる。大舞台の直