現在わが国を取り巻く国際情勢を見ると、中東では米国の対イラン強硬政策によってホルムズ海峡で緊張が高まっており、わが国も関連船舶護衛のために自衛隊の艦艇等を派遣するか否かが問われている。 また、お隣の韓国との間では、これまでの外交的経緯から、わが国が安全保障に関わる輸出制度を見直したことに韓国側が激しく反発し、米国などを巻き込んで外交の場でしのぎを削っている。 しかし、何にもましてわが国における安全保障上最大の脅威となる事態が目前に迫ろうとしていることに、どれほどの人が気付いているのだろうか。それは、来年1月に行われる台湾総統選挙へ向けて、わが国と目と鼻の先にある台湾海峡の雲行きが、かなり怪しくなってきているという現状のことである。 迫りくる暗雲 来年1月の台湾総統選挙に関して中国政府が神経を尖らせているのには、最近に生じた二つの出来事が関連している。 その一つは、香港における大規模な民主化