秋山 ゆかり 事業開発コンサルタント・声楽家 ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタントを務めた後、GE Internationalの戦略・事業開発本部長、日本IBMの事業開発部長などを歴任。コンサートのプロデュースや演奏も行う。 この著者の記事を見る
日本になぜグーグルのような会社ができないのか――。 古くはマイクロソフト、最近ではグーグル、フェイスブックなど、アメリカではテクノロジーに強みを持つ企業が多数登場している。日本でも、LINEなどの世界的に影響を与える会社が登場しつつあるとはいえ、アメリカに比べれば圧倒的に数が少ない。 この理由として、日本人は新しいことにチャレンジしたがらない、ベンチャーキャピタルなどの投資環境が整っていない、前例主義や過去の実績を重視するのでベンチャー企業の製品やサービスを敬遠しがち、などがよく挙げられる。 だが、「日本ではエンジニアが評価されない」ことが、大きな阻害要因になっているのではないかと、ギノの片山良平CEOは指摘する。 ギノは、ITエンジニア(システムエンジニア)に実際にプログラム(コード)を書いてもらって技術を評価するサービス「paiza」(パイザ)を昨年10月に開始したベンチャー企業。これ
今回、編集部のお題は、前回の「健康」に続けて、「スポーツ=運動」について、です。出口は、何か運動をしているのか? していたら、それについて述べよ、というわけです。 ところが、前回明かしましたように、私は趣味としても、健康のためにもスポーツを一切しておりません。ライフネット生命保険社内で運動部活動があまりに盛んなので、「ランニング部に混ぜてください」と社員に頼んだら、「ケガをされたり、心臓発作になられたりしたら困るのでダメ」とはねつけられました。 というわけで、自分の運動についての話はできません。 今回は以上です。 ――というわけにもいきませんから、無理矢理、「運動」に関するお話をいたします。お題は、会社の「運動神経」について。 人間に「運動神経」があるように、会社にも「運動神経」があります。瞬時に決断して、行動して、結果を出す。考えながら動く。動きながら考える。現代のように、著しく変化し続
大学生の就職活動が本格化し、あちこちで就職面接会や企業説明会が開かれている。就職活動では第一印象が大変重要であると言われ、「就職は3秒で決まる」、「第一印象で8割は決まる」という意見も聞かれる。第一印象をよくするためのアドバイス・情報は巷にあふれており、第一印象の向上を目指した就活対策セミナーや、就職活動向けのメーク方法の情報サイトさえ存在する。 第一印象というのは瞬間的かつ主観的なイメージに基づくので、測定・数値化が難しい。また第一印象を決める要素は、顔立ちのような生まれつきの容姿の部分と、表情・態度・身だしなみなどの努力で向上できる部分がある。アメリカでは外見がキャリアにどう影響するかを解明するための研究が重ねられ、測定・数値化の手法が発展していった。また、生まれつきの容姿と、無意識に身につけたと思われる態度が、実は密接な関係にあることも明らかにされてきた。 この分野での先駆的なのは、
我々の目の前で日々起こっている企業の経済活動や各人の消費行動は、漠然と観察する限りにおいては種々雑多です。そして、細分化して分析すればするほど、その多様性や不規則性が強く主張され、構造としての法則性や科学性を発見することが至難の業に見えます。特に、企業や消費者の嗜好が加速度的に多様化している現在では、法則性や科学性の端緒さえ見えにくくなっています。 しかしながら、皆さんも小学校の算数や中学・高校の数学・幾何の授業で、「補助線」を引くことによって、今まで建付けがよく分からなかった表象が、瞬時にして明白な構造として大脳に映像化された経験があると思います。 今回スタートする「時間資本主義の時代」の連載は、「補助線」を提示することで、現在生じている経済活動や消費行動といった多様で不規則な事象を、分かりやすい構造として提示しようとする試みです。 この連載で扱う補助線は「時間価値」という考え方です。
いよいよ本論。 宇宙エレベーターって何? 知っている人は今さら、と思うかもしれないが、ここはぜひ付き合っていただきたい。2012年にまとめられたプランだから、最新の知見が盛り込まれている部分も多く、一見一聴に値する。 基本的な部分から、石川さんに解説していただこう。 宇宙といえば、現在主流の輸送手段は化学ロケットだ。日本には1990年代から運用されているH2シリーズと、つい最近1号機が打ち上げ成功したイプシロンがある。アメリカのスペースシャトルは退役したが、あれもロケットだ。今、10代から40代前半くらいの人にとって、ロケットの代表格はスペースシャトルかもしれない。 大型ロケットに多い液体燃料タイプの場合、燃料(液体水素だとか、灯油だとか)を、液体酸素とまぜてごーっと猛烈な勢いで燃やして噴射し、推進力を得る。一度でも、現場で見ると魅了される。ロケットは、目下のところ宇宙開発の象徴であり、唯
減収減益が続くグリー。2011年には海外展開を急ぎ、一時は世界9カ国まで海外展開を広げた。だが、2013年夏には中国、イギリス、オランダ、ブラジル、ドバイの拠点を閉鎖し、現在、海外の開発拠点として残るのは米国、カナダ、韓国のみだ。 だが、選択と集中を進めた結果が少しずつ実を結び始めているようだ。米国、カナダを統括するグリーインターナショナルCEO(最高経営責任者)の青柳直樹氏に話を聞いた。 (聞き手は原 隆) 国内が減収減益が続く中で、海外売り上げが好調のようだ。 米国ではブラウザー上で動くウェブアプリではなく、米アップルのiPhoneや米グーグルのAndroid搭載スマートフォンに直接インストールして遊ぶ「ネイティブアプリ」に絞って開発を進めている。グリーが米国に進出して3年目になる。当初、日本で展開してきたものをそのまま持ってきてうまくいくのか全く分からなかった。実際、米国市場は思った
「バイトテロ」で企業が倒産に追い込まれる事態がついに発生してしまった。 東京都多摩市。東京都下の丘陵地帯に造成された多摩ニュータウンにあるそば屋の「泰尚(たいしょう)」。幹線道路沿いの好立地で営業していたにも関わらず今年8月に閉店。東京地裁に破産を申請して、10月9日に破産手続き決定を受けた。 同社は前社長が亡くなった昨年9月にそれまで3カ所あった店舗を1店に縮小しての再建中だった。その最中、思いもかけない事件が起きた。 アルバイト店員の男子大学生が店内での悪ふざけ画像をインターネット上に公開したのだ。「洗浄機で洗われてきれいになっちゃった」というコメント付きで洗浄機に横たわったり、顔を突っ込んだりした画像をツイッターで投稿。さらには流し台に足をかけたり、胸をはだけ、店の茶碗をブラジャーのように胸に当てたりした画像など、目覆わんばかりの画像も投稿していた。 問題行為が発覚して、ネットが「炎
伊藤忠商事が本社と国内拠点の社員を対象に働き方を見直してから約2カ月が経過した。深夜10時以降の残業禁止と、早朝5時からの勤務に割増金制度を導入するのが柱だ。業務の効率化により、社員の間では着実にワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が進んでいるが、収益体質の強化や成果主義人事の浸透に向けた課題も浮き彫りになってきた。 「朝バナナ 剥きて輝く ノルマかな」「部屋明かり 消すを競いて 会議消す」。ある若手伊藤忠マンは、働き方の見直しから約2カ月が経った感想を、こんな川柳で表現する。 伊藤忠本社(東京・青山)では地下の社員食堂で午前8時まで無料で果物やヨーグルトなどの軽い朝食が振る舞われる。バナナは、もちろん今年約1300億円で一部事業を買収した米青果大手ドール・フード・カンパニーの商品だ。 12月も半ばに差し掛かると、東京都心の日の出は午前6時半過ぎ。「朝バナナ」の一句は、朝のオフィス
表にあるとおり、70代の保有資産の平均は男性で2249万円、女性で2837万円。選択肢の中で最も金額が大きい「5000万円以上」も含めて満遍なく分布している。70代でもネット調査、特に資産運用に関するものに回答するような層は、資金的に余裕があるケースが多いのだろう。ちなみに60代の回答を見ると男性2559万円、女性は2869万円。同じ世帯の比較ではないので正確ではないが、資産の取り崩しはかなり限定的のように見える。 退職金を抜きに考えれば、5000万円という金額は毎年200万円を25年にわたって積み上げなければ届かない。ということは、給与や退職金が多いか、資産運用でうまく行ったか、よほどの節約上手か、家もクルマも教育費も余りかからなかったか、相続で受け継いだ資産が多いかのどれかだろう。月々の生活費や持ち家、相続の状況については尋ねていないので、これより絞り込むことは難しい。 そうでない場合
お久しぶりです。本欄担当のYです。 某大手私立大学3年の学生さん達に、日経ビジネスオンライン向けに記事を書かせる授業も2年目、今年ははっきりいって粒ぞろいで、欲を出してあれこれ注文を付けていたら前期には1本しか出稿できず(こちら)、あっという間に就活シーズンになってしまいました。後期の授業を経てようやくいま、続々と原稿が私の元に集まりつつあります。今回も皆様からの学生さんへのご意見、ご指導、よろしくお願い申し上げます。 再開第一弾は、今回の学生さんの中でもユニークさでは最右翼の女子大生、シミズ。彼女はこの大学の付属校から内部進学し、就活の時期を迎えたいま、「付属校出身者であること」に大いに悩んでいます。「なんで? せっかく付属校に入れてあげたのに」と、親御さんになりかわって嘆きたくなるところですが、果たして彼女の悩みの真の理由は何でしょうか。 ぜひ、ご自分に(付属校に入れた)大学生のお嬢さ
◆はじめに◆ かねてから「起業家」という存在に興味を持っている。僕のまわりにいる起業家の生態や、彼らがどう語られてきたかは『僕たちの前途』という本でまとめたことがあるのだけど、もっと「起業家」と呼ばれる人に話を聞きたいと思った。というわけで始まったこの連載。 よく世の中では起業家というと、お金にがめつくて、野心にあふれて、独立心の強い人だなんてイメージが持たれたりする。確かにそれにあてはまる起業家もいるだろうが(今さっそく何人か頭に浮かんだ)、一方では最近、社会起業家だとかチェンジーメーカーも注目を集めている。 はじめはあまり分野をしぼらずに、企業やNPOを立ち上げた起業家たちに話を聞きに行きたいと思っている。もちろん彼らの人柄にも興味はあるけれど、できるだけ起業家と社会の関係を明らかにするような話を聞いてみたい。 というわけで、一回目はリブセンスの村上太一さん。すっごくいい人だった。色々
米ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を退任された後、異業種であるカルビーの会長兼CEO(最高経営責任者)に転じた松本晃氏。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の上席副社長からLIXILグループの社長兼CEOに就任した藤森義明氏。オムロン会長からルネサスエレクトロニクス会長兼CEOに就いた作田久男氏──。 最近、別の企業の経営を率いていた実力経営者が他社のトップに就いて活躍する例が目立つ。京セラの創業者で名誉会長の稲森和夫氏が日本航空の会長に就いて同社の経営を再建した例も記憶に新しい。 これらの動きは、日本でもプロ経営者の時代が到来する兆しなのか。日本の経営戦略研究の第一人者で経営者論にも注力している三品和広・神戸大学大学院経営学研究科教授に見解を伺った。 (聞き手は中野目 純一) 最近、カルビーの松本晃会長兼CEO、LIXILグループの藤森義明社長兼CEO、ルネサスエレクトロニクス
講演会の講師で呼んでいただくと、講演開始前に控室で雑談をすることが多い。それは先方のニーズに合った話をするための貴重な時間であり、会社の上司部下関係が垣間見える絶好のチャンスでもある。と同時に、世の中の流れのようなものを肌で感じることもできる。なので、時間の許す限りいろいろな話をするようにしている。 で、最近。正確には今年に入ってからなのだが、トップと社員の“温度差”のようなものを感じることが増えた。 なぜ今年になって増えたのかはわからない。単なる勝手な思い込みかもしれないのだが、なんともいえない微妙な空気感が肌に突き刺さることが少なくないのである。 例えば、中間管理職の方たちと話しているときに、 「ウツになる社員が後を絶たなくて……」 「パワハラがやはり、ありまして……」 「辞めてしまう女性が多くて……」 なんて社内事情を伺うとする。 その後、トップの方に(たいていの場合、トップの方が控
「印刷業界」というと、大日本印刷や凸版印刷といった大手、もしくは街場の小さな印刷会社のいずれかを想像される方が多いだろう。どちらも昔からある「オールドエコノミー」の代表例で、市場規模が徐々に縮小している業界でもある。そんな印刷業界で今、注目されているベンチャー企業がラクスルだ。 自らは印刷設備を持たず、インターネット経由で顧客から名刺やチラシなどの印刷を受注し、連携した中小の印刷会社に印刷を依頼するモデルを確立。中小の印刷会社の設備の稼働率は常に低く、非効率なところに目を付け、工場の空き時間を有効活用しようという試みだ。提携する印刷会社は11月時点で1600社にまで増えた。 今年の春以降は、新聞の折込チラシやポスティングを低価格で提供するサービスも開始。詳しくは後述するが、5~10万円程度で、指定したエリアに5000枚の折込チラシを配れるという低価格を実現。これだけ安ければ、個人経営の店舗
新生ヤフーが目下、全力を挙げて取り組んでいるのがショッピング事業のテコ入れである。売上高の5割以上を占める広告収入や、国内で9割のシェアを握るオークション事業に比べて見劣りするのが同社のショッピング事業。この再生は、新生ヤフー改革の象徴と位置付けられている。本格攻勢の第1弾が、10月7日に発表した「ヤフー・ショッピング」の無料化施策。これまでショッピングの出店者から徴収していた出店料や売り上げロイヤリティなどを廃止し、ヤフーの得意とする広告収入で稼ぐビジネスモデルへの転換を目指す。 ショッピング事業を率いるのは、小澤隆生ショッピングカンパニー長である。99年に設立したベンチャー企業を楽天に売却したことに伴って楽天グループ入りし、その後2006年に楽天を退職。再びベンチャーを設立し、それをヤフーが買収したことから、ヤフーに入社したというユニークな経歴を持つ。 小澤氏は、先の日本シリーズを制覇
バラク・オバマ大統領が昨年1月に行った一般教書演説に日本人として初めて、藤田浩之氏が招待された。一般教書演説とは米大統領が毎年、年頭に連邦議会上下両院の議員を前に年間の施政方針を示すもの。オバマ大統領は、米国の経済力を復活させるべく製造業の強化に取り組む方針を説明したくだりで、「(米国の)自動車業界は復活しました。これをデトロイトだけのものにしてはなりません。クリーブランドでもピッツバーグでもローリーでもできるのです」と力強く語った。この「クリーブランド」という一言こそが、藤田氏がオハイオ州クリーブランドで創業した医療機器の開発・製造を手がけるクオリティー・エレクトロダイナミクス(QED)の取り組みを指しており、だからこそオバマ大統領夫妻は藤田氏をこの日、招待客としてホワイトハウス、そしてキャピトルヒル(米連邦議会議事堂)のボックス席に招いたのだった。 かつて東京大学の受験に2度失敗し、一
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