実は、アメリカの最低賃金も日本と同様に、1人・労働時間1時間あたりGDPの28%とかなり低い水準に抑えられています。これを根拠に、日本の最低賃金の水準は妥当だと思われる方もいるかもしれません。 しかし、日本はアメリカを基準に考えるべきではありません。アメリカはそもそも社会保障制度が充実しておらず、格差を必ずしも悪としない文化があります。かつ、人口も増加しています。一方、日本は欧州と同じように社会保障制度が充実しているうえ、人口が減少しているので、基礎条件はアメリカより欧州に近いと言えます。 さらに国連は、先進国の最低賃金の絶対額が収斂していると分析しています。アメリカは1人あたりGDPが欧州よりかなり高い水準なので、最低賃金が収斂していれば、1人あたりGDPに対する比率が低くなっても当然です。一方、1人あたりGDPが低い日本には、この理屈は通用しません。 最低賃金の「相場」が1人・労働時間