ブックマーク / honz.jp (149)

  • 『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ

    ハーバード大学やプリンストン大学をはじめ、全米200以上の大学で採用さている教科書『Evolution: Making Sense of Life』の邦訳3分冊の第1巻である。「教科書」といっても、書は議論の余地のない事実が淡々と積み上げられた退屈なものではない。原著者は『ウイルス・プラネット』等で知られる大人気サイエンスライターのカール・ジンマーと『動物たちの武器』のモンタナ大学教授ダグラス・J・エムレンであることからも分かるように、科学読み物としての楽しさを保ちながら、確かな知識を与えてくれる内容となっているのだ。またAmazon.comでは『Evolution』の価格は12,000円以上と高価だが、この第1巻はフルカラーの図を多く含みながら、1,680円(税別)だというのだから買うしかない。さらに、邦訳者の1人には、『化石の生物学者』の著者であり『ネアンデルタール人は私たちと交配し

    『進化の教科書 第1巻 進化の歴史』 進化入門の決定版 - HONZ
  • 『21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争』 - HONZ

    人間の性は、私たちを暴力へと促す動機――たとえば捕、支配、復讐――をもちあわせているが、適切な環境さえ整っていれば、私たちを平和へと促す動機――たとえば哀れみ、公正感、自制、理性――ももちあわせている。 ーースティーヴン・ピンカー『暴力の人類史』 書は、Everett Carl Dolman, can science end war? (first published in 2016 by Polity Press) の全訳である。著者エヴァレット・カール・ドルマンのプロフィールについては、書の「はじめに」でご人が紹介しているとおりだが、それによると冷戦時代に成長したことがキャリアのスタートに大きく影響したのが察せられる。人類を核戦争の破滅から救う道として若い日に科学に希望を見出した著者だが、軍隊に籍を置き、他分野の見識を身につけた今日、「科学は戦争をなくせない」と断言する。なぜ

    『21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争』 - HONZ
  • 『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ

    『ブルマーの謎』は、最近ではすっかり見ることもなくなった女子体操服の「ぴったりブルマー(密着型ブルマー)」をテーマにした一冊である。長年研究を続けた社会学者が手掛けており、ブルマー研究の決定版とも言える内容だ。しかしこの画期的な研究が始まったのも、ゼミ生たちとの苦し紛れのやり取りから生まれた「偶然の産物」であったという。当時、山ゼミに所属していた小松聰子さんに、ブルマー教授誕生までの秘話を寄稿いただいた。(HONZ編集部) 今、私の中では嫉妬の炎が燃えまくっている 。そう、我らがブルマー教授こと山先生がとうとうブルマーを出されたのだ。これが身悶えずにいられようか。 なぜ、私がこんなにもムズムズとしているのか、それを説明するためには15年以上も前に時計の針を戻さなくてはならない。私は書の著者、山雄二教授のゼミに所属する大学3回生であった。卒業グループ研究のテーマを決める打ち合わせの

    『ブルマーの謎 <女子の身体>と戦後日本』ブルマー教授が出来るまで - HONZ
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
  • 『住友銀行秘史』戦後最大の経済事件、イトマン事件を告発したのは私です - HONZ

    書『住友銀行秘史』は、日における「戦後最大の経済事件」と言われたイトマン事件を、銀行側からの証言で綴った貴重な資料である。当時、自分は住友銀行東京店の隣に位置する銀行で残業しながらヒーヒー言っていたが、まさか隣でこんな壮絶な出来事が繰り広げられていたとは…。自分はつくづく子供だったと思う。 バブルを経験していない若い人には理解できないかも知れないが、1997-98年の大蔵接待汚職事件を契機に大蔵省から金融庁と証券取引等監視委員会が分離独立するまでは、銀行というのはかなり恣意的な(ずさんな?)融資を行なっていたのである。 そして、新しい資市場や金融規制の流れを理解しないで、いまだに旧態依然とした経営を行なっている古い体質の大企業が不正経理問題などで次々と馬脚を現しているのは、必然の流れと言えるだろう。もはや「時代は変わった」のである。 1990年前後に起きたイトマン事件を覚えているの

    『住友銀行秘史』戦後最大の経済事件、イトマン事件を告発したのは私です - HONZ
  • 事実と向き合った時に引っかかるもの、そこに事件の深い闇がある 清水 潔 ✕ 石井 光太 - HONZ

    石井光太(以下、石井): そうおっしゃっていただけると、嬉しいです。今回文庫化された清水さんの『殺人犯はそこにいる』に影響を受けた部分もあります。このの中で、清水さんは裁判での無期懲役判決を引っくり返し、自ら真犯人を追いつめていく。警察や検察が示す事実がかならずしも「真実」とはかぎらない。それを取材者があばいて、自らの手で新たな「真実」を明らかにしていく。まさに事件取材の真髄を見た気がしました。僕もこれまでマレーシアの日人麻薬密輸事件や、角田美代子の尼崎連続殺人事件などの事件取材をしてきましたが、清水さんのなさっていた調査報道の重要性を痛感し、今回のではそれを特に意識しようと思いました。 清水: 『「鬼畜」の家』では、3件の虐待事件を取材されています。あとで話しますが、どの事件でも石井さんが取材を再スタートさせるポイントがあり、そこが面白い。報道や裁判では明らかになっていない事実を求

    事実と向き合った時に引っかかるもの、そこに事件の深い闇がある 清水 潔 ✕ 石井 光太 - HONZ
  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ

    外来種と言えば、琵琶湖の在来種を脅かすブルーギルやブラックバスが脳裏に浮かぶ。いかにして駆除するか、心ない放流をい止めるか。獰猛な外来種から琵琶湖の自然を守れ。確かにそうだと思う反面(因みに、僕は琵琶湖の外来種の駆除にはずっと賛成している)、何か心にひっかかるものをずっと感じていた。書は、この問題に正面から挑んだ力作である。 冒頭、南大西洋・アセンション島の蒼とした雲霧林(グリーン山)が紹介される。原始の状態が残っていると考えた著者の推測は完全にはずれた。ダーウィンが訪れたときは丸裸の島で人間が持ち込んだ外来種が島を緑に変えたのである。 孤島の生態系は外来種の絶好のカモだという思い込みには根強いものがあるが、島嶼グループを対象にした調査では在来種に重大な影響を及ぼしたものはほんのひと握りで、ほとんどの外来種は多様性を高め生態系を豊かにしていたのである。著者は、オーストラリア、ヴィクト

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』 - HONZ
  • 美しすぎて、呪われそう!『ときめく貝殻図鑑』最近、「波の音」と暮らしはじめました。 - HONZ

    化粧角折入、白帯桃色乙女筆、天使の翼、苺楊梅、雪空時鳥、竜宮翁恵比寿、艶芋、日乙姫心……。 読み方は、ケショウツノオリイレ、シロオビモモイロオトメフデ、テンシノツバサ、イチゴナツモモ、ユキゾラホトトギス、リュウグウオキナエビス、アデヤカイモ、ニッポンオトヒメゴコロ。 えーっと、これは……中国の古典文学? 密教のおまじない? 戦隊モノの必殺技の名前? それとも、イマドキの子どもたちのキラキラネームか、はたまたレディース暴走族のチーム名?? じつはこれ、ぜーんぶ、貝の名前。貝といえば、卓にのぼるアサリやシジミ、カキやサザエなどがおなじみですね。でもじつは、日近海に生息するものだけでも8000種以上、世界中では10万種以上もが確認されていて、なんと貝類は地球上の生命で、昆虫に次ぐ種類の多さを誇っているというのです! それだけの種類がいれば、形や大きさ、色や模様も千差万別。書は眺めているだ

    美しすぎて、呪われそう!『ときめく貝殻図鑑』最近、「波の音」と暮らしはじめました。 - HONZ
  • 『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』生まれた国だから守りたい。 - HONZ

    伊藤祐靖。1964年生まれ。日体育大学を特待生で入学。体育教師への道を断ち、海上自衛隊に最下級兵士として入隊。幹部候補生学校に合格し20年間勤務する。前半10年は、防衛大学校指導教官としての2年を除けば戦闘艦艇、いわゆる“いくさぶね”に乗船。後半は特別警備隊の創隊と、この隊の先任隊長となって鍛え上げる。42歳で自衛隊退職。その後、ミンダナオ島に拠点を移し、個人の資格で世界各国の警察や軍隊に指導を行う。現在は警備会社のアドバイザーを務める傍ら、私塾を開き現役自衛官を含む生徒たちに知識・技術・経験を教えている男だ。 この男の手記がとんでもなく面白い。 日自衛隊には特殊部隊がつい先ごろまでなかったことを知っているだろうか。ある大事件が起こり、それが発端となって創隊が計画されたのが1999年。彼はその企画の最初から関わり、自らが某国の特殊訓練を受け、部隊員の募集、教育、訓練を行い、世界に肩

    『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』生まれた国だから守りたい。 - HONZ
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

    『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ
  • 『<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則』存在することは、変化し続けること - HONZ

    「未来を予測する最善の方法は、それを発明してしまうことだ」とは、かの有名なアラン・ケイの言葉である。確かにそれは正しいかもしれない。しかし、この言葉が当に説得力を持つのは、偉大な発明を成し遂げた人物によって語られた時だけである。 書の著者ケヴィン・ケリーなら、このように言うだろう。「未来を予測する最善の方法は、それを発見してしまうことだ」と。ならば、未来を発見するとは一体どのようなことか? 手掛かりは「プロセス」へ着目することにあった。 書『『<インターネット>の次に来るもの』は、未来を決める12の法則についてまとめた一冊である。過去、現在、未来へと移り変わるテクノロジーの変化を進化論のように観察していくと、一定の法則性が見つかるのだ。 12の法則は、いずれも現在進行形の動詞であり、具体的にはBecoming(なっていく)/Cognifying(認知化していく)/Flowing(流れ

    『<インターネット>の次に来るもの―未来を決める12の法則』存在することは、変化し続けること - HONZ
  • 『自画像の思想史』 - HONZ

    人類の絵画史は15,000年前のラスコーの壁画から始まると著者は述べる。これに対して自画像の歴史はわずか5~600年。なぜ、かくも長い間人類は自画像に関心を持たなかったのか。ここから探求が始まる。 まず、古代の「自画像以前の時代」。自己と他者(世界)は調和しており、人間は神(世界)に従順であった。人間の顔は普遍的に表現され(イコン、仮面など)、自画像を描く必然性が見つけられなかった。 12世紀頃から画家のサイン代わりの自画像が現れる。ルネサンスから始まる近代は、自己と他者が対等の存在となり、かつ対立する時代であった。鏡が普及し遠近法が用いられて格的な「自画像の時代」が到来する。自己とは何かを追及する上で自画像を描くことが不可避となったのだ。最後に、現代は、自己と他者が分裂・拡散し、自画像を描く意味が喪われた「自画像以降の時代」である。 著者はヨーロッパに見る自画像の展開について、顔の造形

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    三十路も四十路もまだまだ幼児?『魔女は三百路から』 2018年11月18日 唐突なんですけど、皆さんは「魔女」の存在を信じますか? そう、あの魔女です。御伽話や物語、もちろんマンガの世界でも何度も見かけるあの魔女です。 くしゃくしゃの顔で先端が折れた三角の頭巾とローブを身...

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  • 『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』解説 by 岸 由二 - HONZ

    現代生態学の核心的なテーマを扱う不思議なが登場した、というと、意外に思われるかもしれない。扱われているのは、自然回復論。外来種をどう理解し、評価するか、未来の自然保護をどのようなビジョンで考えるか、そんな話題ではないか。そのどこが現代生態学の基礎テーマにからんでいるというのだろう。 現代生態学の基礎テーマというと、まっさきに、ドーキンスの利己的遺伝子論や、やたらに複雑な数理生態学のことを連想する読者がいるかもしれない。それはそれで、正しいのだが、自然回復、自然保護などを扱う生態学のいわば道における基礎テーマは、すこし焦点が違う。きわめて重要な領域なのだが、とくに日の生態学の領域ではなかなか話題にするのも難しく、わかりやすい専門書もほとんどないのが実情だ。そんな、わかりにくい世界について、「外来種をどう評価するか」という現代保全生態学

    『外来種は本当に悪者か? 新しい野生 THE NEW WILD』解説 by 岸 由二 - HONZ
  • 史上最強のナード──『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』 - HONZ

    君は『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(Dungeons & Dragons :以下D&D)を知っているか。 D&Dは紙と鉛筆とサイコロ、世界観や数値が記載されたルールブック、それに自身の想像力/対話を駆使して複数人で行うテーブルトークアールピージー(以下TRPG)である。1974年に発売された作は世界中で流行し、プレイヤーが冒険者になりきってファンタジー世界を探索する世界初のロールプレイングゲームと呼ばれる。数えきれないほど多くのクリエイターが作から受けた影響を表明しており、TRPGをやったことがなくともD&Dの名は知っている人も多いだろう。 ゲイリー・ガイギャックスはこのD&Dを生み出した人物であり、書はそんな偉大な男の伝記である。これがもう、めちゃくちゃおもしろい。その人生は波乱万丈。幼少期からゲームにのめり込んで高校は中退、仕事ゲームをやっていてクビになる。独創的なゲーム・アイデ

    史上最強のナード──『最初のRPGを作った男ゲイリー・ガイギャックス〜想像力の帝国〜』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『あず☆らいず!!』第7話『大切なもの』 2018年11月19日 福岡に実在するバンド「AZLiGHTZ(アズライズ)」。 チヒロ(Vo.)、ナオプ(Dr.)、サナ(Gr.)、ノゾミ(Ba.)のメンバー4人は全員がアニヲタである。 フェス会場で共演バンドとケ...

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  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    いの快感が忘れられない『人魚姫のごめんねごはん』 2018年11月19日 僕はありがたいことにべ物の好き嫌いがないので、お肉も野菜も大好物ですが、魚や貝といった海鮮も大好きです。 なにせ魚介類は種類も豊富だし、調理方法で味も千変万化。それこそ毎日べたって飽きません。...

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  • 『空から降ってきた男 アフリカ「奴隷社会」の悲劇』現代版『チャタレイ婦人の恋人』の謎を探る - HONZ

    2012年9月9日。晴れ渡ったロンドンの朝7時50分ごろ、スコットランド・ヤード(警視庁)に緊急電話が入る。ロンドン西部のモートレイクという街のポートマン通りに死体のようなものがあるという通報だった、電話してきたのは日曜日の朝に教会に向かっている男性で、血も見えるという。 5分後には警察が到着し遺体が確認され、周辺の聞き込みが始まる。電話があった直前、「ドン」という鈍い音が聞こえたという。被害者は頭部がひどく損傷した若い黒人男性で、最初は殴り殺されたのではないか、と思われたが、損傷のひどさとひっきりなしに空を飛ぶ飛行機をみて、空から墜落したのではないかという結論に達する。近くにはヒースロー空港があった。 地元紙はすぐに取材を開始する。スコットランド・ヤードの発表は「密航しようとして、ヒースロー行きの飛行機から墜落した」と説明する。数少ない所持品にはアンゴラ紙幣2枚とボツワナ硬貨1枚があった

    『空から降ってきた男 アフリカ「奴隷社会」の悲劇』現代版『チャタレイ婦人の恋人』の謎を探る - HONZ
  • 剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ

    紀元前から人類は図書館と共にあったが、それは場所が戦地にあってもかわらない。人はいかなる時であっても──というよりかは、過酷な状況にあってこそ書籍を求めるのかもしれない。 書『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』は「第二次世界大戦時に、強いストレスに押しつぶされそうになっている兵士たちの心を癒やすため、海を渡って兵隊らに行き渡った書籍」についての歴史である。この運動は市民や図書館といった多くの人の手によって集められたに加え、兵隊が持ち運びをしやすいように、兵士専用にあつらえられた兵隊文庫がつくられることでの形態も変化させていった。それは後の出版文化にも大きな影響を与えていくことになる。 また、そうした一連の運動は、1933年からドイツで行われていた非ドイツ的なものを排除する思想統制の目的にて行われた政府公認の焚書(最終的にはこの焚書によって1億冊以上が塵となったという。)にたい

    剣のように強い力を持った本の記録──『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』 - HONZ
  • 『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』悲劇への道は、共感の心で敷き詰められている - HONZ

    SNSに功罪はあれど、「共感をベースにした評判社会」という言葉には何か否定できないものがある。他人の喜びや悲しみといった感情に寄り添うことができ、周囲からどのように思われているか可視化される状態であれば、さぞかし理想的な社会になるはずだ。 しかし、実態はどうだろうか。人々のつながりは誹謗中傷や負の感情を運ぶ時の方が勢いが強く、よりスキャンダラスな方向へと向かっているような印象も受ける。ならば、世の中は「共感をベースにした評判社会」とは違う方向へ進んでいるのだろうか? 書はこのような疑問に対して、明快に回答する。むしろ、これは共感をベースにしているからこその動きであると説くのだ。驚くのはそのメカニズムを、1942年と1950年に起きた2つの冤罪事件(浜松事件と二俣事件)、そして1759年に出版されたアダム・スミスの『道徳感情論』という2種類の要素から解き明かしていることだ。 なぜ、SNS

    『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』悲劇への道は、共感の心で敷き詰められている - HONZ