若いころの私はなぜあんなにもルッキズムを過大評価していたのだろうと、50歳も間近に控える年齢になったいまよく思う。若いころの私には、見た目がいい人間が眩しくて、彼ら彼女らはすべてを持っているように感じられていた。 逆にいまの私はルッキズムを過小評価しているように思う。外見のよさなど社会的評価には1ミリも影響しないかのように、今の私には感じられる。 これは実感としてどちらもまちがいではなく、私が生きる社会を移動したということなんだと思う。若者がもつ武器の中で最も強いのは見てくれのよさ。だからそこばかりが見られ評価される。逆に大人はそこで若者と張り合っても勝負にならないから、もっと別の武器が求められ評価される。私は若者の社会から大人の社会で生きるようになった。 無論、大人の社会にも見てくれのよさを求められる社会はある。タレントや芸能人は言うに及ばず、弁護士や政治家もその比率は高いかも知れない。