名古屋の摩天楼・JRセントラルタワーズ。名古屋駅に併設された世界一高い駅ビルである。だが、鉄道関係者たちが視線を注ぐのは、地上250メートルの最上階ではなく、一般客には決して明かされない地下空間。2本の地下鉄路線より、さらに20メートル以上も深い場所に「人工的に整備された空間が広がっている」(鉄道関係者)。人知れず生まれたこの空間は2025年にこう変わる。「リニア中央新幹線・名古屋駅」。日本の社会、経済を一変させる超特急の主要駅になるのである。 「夢の超特急」の名のとおり、超電導リニアモーターカーは、ごく最近まで夢物語として語られることが多かった。技術開発の進歩は著しいが、「国土交通省は従来型の整備新幹線の計画で手一杯。リニアをやる財源などどこにもなかった」(国交省関係者)からだ。 それに業を煮やしたのが、JR東海だ。07年末に突如、首都圏から中京圏までの建設に必要な5兆1000億円を