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ブックマーク / honz.jp (364)

  • 『ヒトラーランド』簡略化されたプロットを剥いだ先に見える物とは? - HONZ

    後世の人間が歴史を見るとき忘れがちなことがある。それは自分たちが神の視点を持っているということだ。私たちが過去を眺めるとき、複数の点でしかない出来事が、やがて一の線となり繋がっていくさまを、俯瞰的に眺める事ができる。私たちは往々にしてそのことに気づかないものだ。だが、考えてみれば、今を生きる私たちが、いま起きている政治的決断や紛争がどのような帰結を迎えるのかを知ることが出来ないように、当時を生きた人々も、自分たちの決断や、リーダーの行動がどのような終焉を迎えるのかを知ることはできないのだ。 著者の言葉を借りれば、「ヒトラーは悪の権化といった、抽象的な存在ではなく、現実にいる政治家」だったのだ。書はヒトラーとナチスの台頭を当時の人々の視点で、それもドイツ人ではなく、在独アメリカ人の視点を私信、著作、記事などを丹念に読み込むことで紐解いていこうとする意欲作だ。 1920年代のベルリン。アメ

    『ヒトラーランド』簡略化されたプロットを剥いだ先に見える物とは? - HONZ
  • サイコパスと診断された科学者が語る『サイコパス・インサイド』 - HONZ

    サイコパスの研究者が、サイコパスであったーーこの衝撃の事実を皮切りに物語は始まる。科学者視点による所見と自分自身のこれまでの体験、二つの視点が交錯する中で際立っていたのは、両者の間に大きな乖離が存在するということであった。 サイコパスの定義とは今日の科学の進展をもってしても、未だ不確かなものである。一般的に「精神病質」と表されるサイコパスの特徴は「平板な感情の動き」に代表される対人関係における共感性の欠如である。映画『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に登場するレクター教授のような、古典的なサイコパス像を思い出される方も多いだろう。 だが決して凶悪な殺人犯だけを指すわけではなく、人を思い通りに操縦しようとしたり、嘘に長け、口がうまく、愛嬌たっぷりで、人の気持ちを引きつけたりといった特徴も含むものとされる。むろん著者は人殺しや危険な犯罪を犯したことなどなかったし、それどころか科学者として成功し、幸

    サイコパスと診断された科学者が語る『サイコパス・インサイド』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/02/12
    本書のラスト二章、タイトルは「サイコパスの脳を変えることはできるのか?」と「なぜサイコパスは存在しているのか」。当事者視点から語られる記述には哲学的な思索も入り交じり、最後の一行まで目が離せない。
  • 『聞き出す力』タブーを恐れず、話を引き出すには - HONZ

    ベストセラーになった『聞く力』(阿川佐和子、文春新書)が発売されてから約3年。一周どころか数周遅れの感もあるが、「プロインタビューアー」、「人よりもその人に詳しい」と言われる著者による待ちに待った一冊だ。 インタビュー時の面白い経験や背筋が凍った体験などから話を聞き出すのに必要な50の法則を紹介している。登場するのも政治家からアイドル、大御所の芸能人、プロレスラーまで癖のある取材対象者ばかり。インタビュー術に興味が無くてもエピソードそのものが面白く、頁が進むはずだ。 俳優の三國連太郎に「三國さんが臆病なのは短小包茎から来ているのですか」と質問したり、暴力団排除条例後に往年のスター・小林旭にヤクザとの付き合いを聞いて「誰が迷惑したの?」という言葉を引き出したり、野球のルールを全く知らないのに張勲や金田正一に取材して盛り上がったり。

    『聞き出す力』タブーを恐れず、話を引き出すには - HONZ
  • 『すべては1979年から始まった』今を読み解く「市場」と「宗教」の連立方程式 - HONZ

    混迷を極める現代がどのような構図で成り立っているのか、それを知るために今ほど書店が役に立つ時はない。右にピケティ、左に「イスラム国」。市場のパワーが生み出した格差と、宗教の原理を背景にしたイスラム主義の台頭、しかもその綻びが露わになってきている様まで一目で理解出来るだろう。 この猛烈な勢いで世界を覆う「市場」と「宗教」という二つの力。その源流を遡っていくと、自ずと一つのターニングポイントに到達する。日でウォークマンが発売され、『Japan as No.1』と謳われた1979年、世界では様々な物語が動き出していた。 2月にホメイニーを中心とするイラン革命が起き、その後イラン・イスラム共和国が樹立。5月にはイギリスでサッチャーが首相に就任し、6月にローマ教皇ヨハネパウロ2世が初のポーランド巡礼を行う。7月には鄧小平が中国に経済特別区が設置し、12月にアフガニスタンでの聖戦が始まった。 それぞ

    『すべては1979年から始まった』今を読み解く「市場」と「宗教」の連立方程式 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/02/03
    イスラム教は、実のところ、唯一神の崇拝で結ばれた、階級のない完璧な社会をもたらす革命への本来の道であり、マルクスは新参者であった。
  • 『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ

    書を読むまで私はイスラム国が数多くあるジハード集団のひとつだと勘違いしていた。今、中東でおきている出来事を理解する上で、間違いなく書は読んでおくべき一冊だ。 まず驚かされることは、イスラム国は自爆テロ一件ごとの費用にいたるまで詳細に記録し、高度な会計技術を駆使した、収支報告書を作成しているという点だ。無論、過去にも「テロ」という行動を巧みに使い、経済的に成功してきた武装組織は存在する。PLOなどもそのひとつだろう。 しかし、彼らがこれらの武装組織と違う点は、シリア内戦の混乱を利用し巧みに経済的な自立を果たした点にあるという。多くのテロ組織は複雑な国際関係の中で、いずこかの国々から経済的な援助を受け、いわゆる代理戦争の「駒」として行動している。当初はイスラム国もそのような組織のひとつだったのだが、彼らは援助された資金を、援助国が望む勢力の攻撃に使用せず、自らの国家建設のために使用していた

    『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/01/28
    イスラム国はスンニ派サラフィー主義に改宗する者は殺さないという。また、外国人もジズヤという、非ムスリムに課せられる人頭税や身代金を払えば解放される。/歴史を創る行為?考え過ぎ。
  • 突き放した視点で見る宗教、発想が変わる『教養としての宗教入門』 - HONZ

    フランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」 の襲撃事件、1年あまりで国家に近い体制を築いた「イスラム国」、そして日人2人が人質となった事件、2つの旬なイシューは国際政治や経済の問題であると同時に、宗教から見つめることができる。そのための浅く広い基礎知識と斬新な見方が書にあると言っても過言ではない。 「宗教」という言葉の起源は西欧語”religion”を翻訳語で、中国語や韓国語の「宗教」は日からの逆輸入・再輸入である。従って”religion”の概念的なモデルは、一神教の意味合いが強い。東アジアは神道、儒教、道教、仏教、自然信仰と、あらゆる宗教がチャンポン状態になっており、どれが主力とも言えない関係にある。多神教と呼ばれる由縁であるが、これらの全体を総括として、”religion”と呼ぶのか、一つ一つを”religion”とするか、これは未だ学問的に解決していない問題である。 外国からは

    突き放した視点で見る宗教、発想が変わる『教養としての宗教入門』 - HONZ
  • 『生命の惑星 ビッグバンから人類までの地球の進化』でサイエンスリテラシーを鍛える - HONZ

    6,000円を超える価格、700ページに迫るボリューム、頻出する数式や化学反応式。このの表面的な特徴だけに着目すれば、購入までのハードルは随分と高い。しかし、このにはその価格以上の価値が間違いなくある。終盤まで読み進める頃には、「もっと読んでいたい」と思わずにはいられないストーリーがある。そして、この世界の成り立ちと仕組みを深いレベルで理解できる喜びがある。是非書店で書を手に取り、第一章だけでも読んで欲しい。続きが気になって、その足はいつの間にかレジへと向かっているはずだ。 書は、“Global Warming(地球温暖化)”という言葉を生み出した地球化学者ウォリー・ブロッカーによって1984年に出版された『How to Build a Habitable Planet』(邦題『なぜ地球は人が住める星になったか?』)の増補新版である。増補新版とはいっても、20年以上の月日で進歩した

    『生命の惑星 ビッグバンから人類までの地球の進化』でサイエンスリテラシーを鍛える - HONZ
  • これぞ機上の空論か!『ビックリ飛行機でゆく世界紀行』 - HONZ

    一般的に「手段の目的化」という言葉が、良い意味で使われることはあまり多くない。まず目的ありきで、それを実現するために手段がある。逆になってしまうと目的が形骸化し、質的ではなくなるという声もよく耳にすることだろう。 ところが、である。これが趣味の話となると、事情は異なるのだ。むしろ「手段の目的化」にこそ、マニアの真髄が隠されていると言えるだろう。何か特定の目的のためではなく「ただ好きだからを読む」とか、いっそのこと「ただ楽しいから人生を生きる」とか言い切ってみると、ちょっとしたポエムも出来上がる。 書の著者、チャーリィ古庄氏も、そんな「手段の目的化」を極めた人物である。飛行機という交通手段そのものをエンタテイメントと捉え続け、「世界で最も多くの航空会社に搭乗した人」としてギネス認定されたほどの筋金入りだ。 人自ら「撮りインフルエンザ」と「乗りウイルス」に感染したと宣う「冒険航空写真家

    これぞ機上の空論か!『ビックリ飛行機でゆく世界紀行』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/01/21
    ビーチの頭上すれすれを通過していく、プリンセス・ジュリアナ空港(セント・マーティン島)付近の光景
  • 『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 - HONZ

    2014年のノーベル物理学賞は3人の日人学者が受賞した。それぞれに強い個性があり、劇的な歴史があり、微笑ましい物語もあり、日人の一人として誇りを感じるだけでなく、ある意味で大いに楽しませてもらった。天才たちは研究成果や創作物だけでなく、その存在そのものも偉大なのだとつくづく感じ入ってしまった。 まだ、この3人の日課について多くは語られてはいないが、過去のノーベル賞受賞者には日課を持つ人が多いらしく、記録にも残っている。日課とは当たり前のことだが、毎日決まって同じことを行うことだ。それはかならずしも仕事に直結しているものだけではない。趣味であったり、単にクセだったり、ともかく毎日欠かさず行うことだ。 たとえば、iPS細胞の山中伸弥教授は毎日昼休みに30分間のランニングをするという。毎年ノーベル文学賞候補として話題になる村上春樹もランナーだ。サラリーマン受賞者として有名になった田中耕一シニ

    『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 - HONZ
  • 『ボケてたまるか!』あなたは本当に大丈夫?? - HONZ

    朋史は朝日新聞記者として39年のキャリアを持つベテランだ。さまざまな部署を経験したが、事件取材が圧倒的に多かった。特ダネを抜いたり抜かれたりしたりしつつ、現場に拘って過ごしてきた。60歳で定年を迎え後も1年ごとの契約更新で記者の仕事を続けていた。 そんな山が脳の異常を感じたのは61歳を過ぎた頃であった。記憶力には自信があったのに、少し前に聞いた人の名前が出てこなくなったのだ。大好きな競馬の競走馬の名前も思い出せない。しかしそんなことは周りを見ればみんなあること。加齢のせいにしていた。 だがある日、取材日程をダブルブッキングしてしまう。いままでの記者人生でありえないことが起こった。これは絶対におかしい。彼は医療関係者のアドバイスに従い、東京医科歯科大学病院精神科にある「物忘れ外来」に飛び込んだ。 認知機能検査を受け、MRIとCTの精密検査の結果、症状はまだ軽いが認知障害の疑いがある(M

    『ボケてたまるか!』あなたは本当に大丈夫?? - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/01/18
    負荷をかけた運動に痛みを感じなかったら、それは認知障害の始まりなのだそうだ。
  • 『チェンジング・ブルー』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ

    ノンフィクション専門の書評サイトHONZを開始する前の2008年、たまたま書店店頭で見つけた書を手にとった。そして強い衝撃を受けた。日人にこのような素晴らしい、出版史に残るような科学読み物が書ける日が来るとは思わなかった。このようなこそ世の中に紹介しなければならないという義務感を感じた。それまで個人ブログを利用して簡単な書評を書いていたのだが、組織化して専門のサイトを立ち上げる覚悟を決めた。それが現在のHONZである。素晴らしいは、新たな挑戦を生み出す力を持っているのである。もちろん書はHONZに常設している「成毛眞オールタイム・ベスト10」の筆頭である。 科学読み物は伝統的にイギリス人作家が上等だ。19世紀の大英帝国は世界中から文物と情報を集め、観察し、分類し、科学した。その結果として、彼らの末裔たるイギリスのサイエンス・ライターたちはつねに物事をグローバルに捉えるという視点を

    『チェンジング・ブルー』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ
  • “土人”の土産か『アートにとって価値とは何か』 - HONZ

    パリでいうならルーブルやオルセー、 ニューヨークであればメトロポリタンやMoMA、グッゲンハイム といった各都市にはこれだ!という代表的美術館がある。 対して日には「これが日の美術館だ!」と言えるようなものが無いような気もする。英国データ(The Art Nespapaer:2013.3.28)によると美術館の動員数世界1位は38万点以上のコレクションを所蔵するルーブル美術館がトップで、年間約1000万の入場者が訪れる。ルーブルの入場料は16ユーロなので日円だと2015年1月では約1703円。トップ10のうちアジアは唯一、台北の故宮博物院がランクインしており、所蔵数は約70万点。他は英国・米国・バチカン・フランスの国でトップは占められている。 欧米の文脈に沿うアートの定義からすると、実は日の美術館は常設展が弱い。その反面、東京を筆頭に企画展は充実しており印象派の作品から古代エジプト

    “土人”の土産か『アートにとって価値とは何か』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2015/01/08
    この本も気になる:学校では教えてくれないアーティストのなり方 http://www.amazon.co.jp/dp/4861132231/
  • 年末年始はピケティ三昧!? 『21世紀の資本』を読んだ人たちは、どんな本を買っていたのか? - HONZ

    先月も書きましたが、年末に発売されたピケティの『21世紀の資』は出版業界にとっては大きな話題のひとつになっています。内容以前に「5,500円もする!」「売れてる!」「品切れ続出!!」と、売り手にとってはにんまりするような話が飛び交いました。 景気の悪い話ばかりが聞こえてくる中で、このの存在は当に心強いものです。こうなると気になるのは「誰が買っているのか」ということ。「これを買う人は相当な知識人、そしてお金も持っているだろうから上顧客なんだろうなあ」とか、色々な想像をしつつデータが蓄積されるのを心待ちにしていました。 それではまず読者のクラスタから見ていきましょう。データは発売から1月4日までのものとなります。 これまでのこういったジャンルのと同傾向と見て良いかと思います。男性読者がほとんどであり、ピークは60代でした。ただ、発売からの日数経過にともない、50代の読者が急激に伸びてき

    年末年始はピケティ三昧!? 『21世紀の資本』を読んだ人たちは、どんな本を買っていたのか? - HONZ
  • 『人と企業はどこで間違えるのか?』ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツに渡された最高のビジネス書とは - HONZ

    2014年夏、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、自身のブログ「gatesnotes」で『Business Adventures』という1冊のを紹介した。20年以上前にウォーレン・バフェットから推薦されたもので、以来「最高のビジネス書」として愛読し続けているという。世界的にも大きな注目を集めた書の魅力と概要を、翻訳者の須川綾子氏に解説していただいた。 『人と企業はどこで間違えるのか?』は1959年から1969年にかけて執筆されたエッセイのアンソロジーである。2014年の夏、ビル・ゲイツ氏が「最高のビジネス書」として紹介し、しかもウォーレン・バフェット氏から20年以上も前に借りて、それ以来何度も読み返しているというエピソードがついたことで、大きな注目を集めた作品だ。 著者ジョン・ブルックス氏は1920年にニューヨークに生まれ、1993年にこの世を去っている。プリンストン大学を卒

    『人と企業はどこで間違えるのか?』ウォーレン・バフェットからビル・ゲイツに渡された最高のビジネス書とは - HONZ
  • わたしの好きな”ちんぼうぐ” 『愛しき駄文具』 - HONZ

    文房具フェチである。ちょっとした文房具屋さんがあると、かならず覗きたくなる。ついムダな文具も買ってしまう。しかし、万年筆などに手を出さないかぎり、文房具の値段などしれたものである。文房具関係のも好きである。いりもしないカタログ系のムックなんぞもしょっちゅう買っている。 このも、出張前に駅の書店でつい買ってしまった。駄文具、なんじゃそら。著者は『きだてたく』。どこまでが名字なのか、はっきりしてほしい名前である。その、きだ氏かきだて氏かによると、駄文具とは『思わず遊んでしまって仕事が出来ないのが』、駄目な文具すなわち駄文具らしい。 プロフィールを見ると、ただ者でないことは一目瞭然だ。『自称世界一の色物文具コレクション(5,000点以上)に囲まれ』る生活であり、『“文具王”高畑正幸氏や、他故壁氏らと文房具トークユニット「ブングジャム」を結成。』とある。知る人ぞ知る文具王とユニットを組んでると

    わたしの好きな”ちんぼうぐ” 『愛しき駄文具』 - HONZ
  • 『人類が知っていることすべての短い歴史』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ

    2006年に書の単行が出版されたとき、厚さは4.5cm、重さは655gだった。横に寝そべって読むにも、すぐに手が疲れたし、を掲げて仰向けに読むと、命の危険を感じる重さだった。業務用のラーメン丼でも500g程度なのだ。そんなものが顔面に降ってきてはたまらない。通勤通学の電車の中で読むこともままならない。あまりに厚く重いので、首から画板でも吊り下げてみようかと思ったのだが、まともな大人のすることではない。 それゆえ、単行は机に書見台を置き、正座に身を正して読んだ人が多かったに違いない。6部30章で構成されるだから、1日1章、きっちり1カ月間で読み終わる。読書とはこうあるべし。「読書百遍意自ずから通ず」と漢学の素養がある人であれば考えたに違いない。もはや修行である。 ところが実際には、ほとんどの読者は1週間もしないうちに読み終わったのだ。あまりにも面白く、ページをめくる手が止まらなかっ

    『人類が知っていることすべての短い歴史』文庫解説 by 成毛 眞 - HONZ
  • やっぱり日本の翻訳家はスゴイ!『翻訳問答』 - HONZ

    シンプルでセンス溢れる軽快な装丁、帯には江國香織と穂村弘の推薦文、著者は、僕らの世代だと、ハワイやサーフィンのイメージがすぐに浮かぶ、作家・翻訳家の片岡義男と、クッツェーの翻訳や『嵐が丘』の新訳で知られる鴻巣友季子。そしてタイトルの「蒟蒻問答」を思わせる遊び心ーー。 を手に取れば、どうしても「洗練」「洒脱」といった言葉が思い浮かんでしまう。ところが、いざページを開くとまったく印象が変わる。ひんやりと澄んだ空気感のなかで、真剣を交えるような言葉のやりとりが続く、実に読みごたえのある一冊なのだ。 書の「仕組み」は、次のようなものだ。 ・まず著名な、すでに翻訳されている著名な小説を、「課題小説」として片岡、鴻巣両氏が選び出す。 ・訳す範囲の原文だけが編集部から二人に渡される(つまり全体を通して原文を読むことはできない)。 ・締切日が提示され、その日までに双方が翻訳原稿を提出したのち、対談が行

    やっぱり日本の翻訳家はスゴイ!『翻訳問答』 - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2014/10/23
    仮に百パーセントの翻訳というものがあるとしたら、自分は何パーセントくらいの翻訳でいくのか、と態度を決めるのです。伝えられるのは七十五パーセントだと決めたら、残りの二十五パーセントは意に介さないこと
  • これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ

    帯にはLNG船の写真と「日の丸」のような赤丸。その赤丸の中には「HONZ成毛眞氏大興奮!」と白抜き文字。そりゃあ間違いなく面白そうだと、書店で慌てて買ってみた。 なんてことはなくて、きっちりとゲラを読みこんだ上で、帯文の一助としていただいた。まさにこれを読まずに日の未来は語れないと考えたからだ。著者は三井物産でエネルギー関連事業に携わってきた岩瀬昇さんだ。あとがきを読んで気づいたのだが、ライフネット生命の岩瀬大輔社長のお父上らしい。 帯裏には「エネルギー界の池上彰さん誕生!」とある。まさに読み込んでいる途中からそう感じていただ。シェールガスや石油の現状は、専門的、技術的、国際政治的、流動的であり、理解しにくいことの筆頭なのだが、これまでそれを丁寧に説明してくれるはなかった。 アメリカで起こっているシェールガス革命のインパクトは知っているつもりだった。世界最大のエネルギー消費国であるア

    これを読まずに日本の未来は語れない『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』 - HONZ
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    シリアスとギャグのバランスが絶妙な『銀魂』面白さと入りやすさはど... 2018年09月27日 ギャグが好きな人、思いっきり笑いたい人は、シリアス長編エピソードの間に挟まれるギャグ編がオススメ。私は読者投票によるキャラクターランキングの結果発表後、ランキング結果を変えようとするキャラクター...

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  • 『ホット・ゾーン』エボラ克服には、地球規模の強大な努力が不可欠だ - HONZ

    西アフリカで猛威を奮うエボラ出血熱はアメリカ土での感染者も現れ、一層の拡大が憂慮されている。書『ホット・ゾーン』は1994年に刊行。いつか迫り来るであろう遠方の脅威としてではなく、まるで肉声が聞こえてくるかのようなナラティブな手法でエボラの獰猛さを最前線から伝えた。 そして2014年、過去最大のアウトブレークを迎え、新装版の刊行が急遽決定する。著者・リチャード・プレストンは今、何を思うのか? 新装版に向けて書いた追記を、HONZにて特別先行公開いたします。(※現段階で単行未収録) この文章を書いているあいだも、エボラ・ウイルスは西アフリカの人々のあいだで猛威を振るっている。2014年のエボラ・アウトブレークは、エイズを発症させるHIVウイルスが1980年代初期に地球的規模で出現して以来、新興感染症としては最も爆発的な最悪のアウトブレークとなった。 エボラ・ウイルスが最初に確認されたの

    『ホット・ゾーン』エボラ克服には、地球規模の強大な努力が不可欠だ - HONZ
    TakayukiN627
    TakayukiN627 2014/10/06
    その結果、医学界においてすら、エボラは人類にとってたいした脅威ではない、という見方が広がった。とんでもない間違いだった。