石油などの天然原料から作られる有機化合物「ファトスタチン」に、脂肪の形成を阻害する働きがあることを、京都大学物質−細胞統合システム拠点の上杉志成教授らの研究チームが突き止めた。体内での脂肪蓄積の防止につながる発見で、実用化されればメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善に役立つことも期待される。 研究成果は28日発売の米科学誌「ケミストリー・アンド・バイオロジー」に掲載された。上杉教授は「糖尿病や脂肪肝を改善する薬剤開発に一歩近づいた」としている。 研究チームは、ファトスタチンをヒト細胞に加えると、脂肪を形成する遺伝子の発現量が下がることを究明。さらに、ファトスタチンには、この遺伝子を活性化させる因子「SREBP」の働きをコントロールするタンパク質と結合する習性があり、結果的にSREBPの働きを阻害することがわかった。 その上で、2匹のマウスのうち一方にだけファトスタチンを注射投与