【イスタンブール=内田晃】麻生首相の後ろ盾である森元首相が外遊先のトルコから「9月の任期満了まで総選挙を先送りすべし」と再三発信している。「麻生首相では戦えない」という自民党内の動揺を鎮め、「麻生降ろし」の動きを封じる狙いが透けるが、先送りしたところで総選挙に勝つ見込みはなく、森氏の真意はやぶの中だ。 「補正予算の準備を始めた今、選挙をやっている暇はない」。森氏は17日、イスタンブールでの韓昇洙・韓国首相との会談で「解散封印」を宣言した。韓氏が「9月いっぱいまで(解散は)ありませんね」と応じると、「世界のためにも日本経済を立て直す努力をしなければ」と相づちを打った。 森氏は先月28日にひそかに首相公邸を訪れ、「経済対策に専念し、任期満了まで解散しないほうがいい」と助言した。このところ「総選挙で敗れて野党になっても仕方がない」と周辺に漏らし、麻生首相で任期満了選挙に臨む覚悟を見せてもいる