「坂本龍馬」や「吉田松陰」「上杉謙信」が、高校の教科書から消える。先月半ば、一部のメディアが報じると、龍馬ファンが反発するなど大騒ぎになった。 ▼高校や大学の教員ら約400人でつくる研究会が公表した歴史用語の精選案から、漏れてしまった人名である。もっとも問題の本質は、「龍馬」ではない。精選案に残される人名以外の用語のなかに、「従軍慰安婦」と「南京大虐殺」が含まれていた。 ▼従軍慰安婦は、戦後の造語である。しかも慰安婦が従軍看護婦や従軍記者のように、直接軍の管理下にあったかのような誤解を生んできた。中学生の教科書からは、すでに消えている。南京大虐殺も「南京事件」に比べて、ことさら日本軍の残虐性を強調した言葉である。 ▼暗記力より思考力育成につなげるのが狙いだという。研究会側の説明には、納得がいかない。なぜ実証的な研究から問題が多いとされる用語を選んだのか。中国と韓国におもねった偏った史観に、