農業総合研究所は全国に93カ所の集荷拠点を持ち、それぞれの地域の農家から集めた野菜を、東京都内や大阪府、和歌山県などのスーパーマーケット内に設けた産直売り場で販売している。21年8月期の流通総額は123億円、売上高は47億円で、右肩上がりで成長してきた。 会長兼CEO(最高経営責任者)の及川智正氏が起業したのは07年。「豊作貧乏」への疑問がきっかけだ。豊作で農作物が過剰に市場へ出回り、値崩れを起こす現象のことで、農家は普段より多く収穫するため手間はかかるが、利益は減ってしまう。
2022年6月24日、日経ビジネスオンライン時代から長くご執筆をいただいてきたコラムニスト、小田嶋隆さんがお亡くなりになりました。 今回は、小田嶋さんに近しい方々にいただいた寄稿を掲載して、皆さんと一緒に偲びたいと思います。 最初は、日経ビジネスに小田嶋隆さんをご紹介くださったジャーナリスト、清野由美さんです。 追悼、小田嶋隆さんへ ついにこの時が来てしまった。 小田嶋さんが脳梗塞で入院された時から、ずっと、はらはらと過ごしてきた。編集Yこと、日経ビジネスの山中浩之さんから電話の着信があると、覚悟を決めて出るのが習いになっていた。小田嶋さん本人の美学から、逐一の病状はうかがっていなかったが、じわじわと砂の落ちる音は伝え聞いていた。 私にとっては、昨秋「中央公論」で小田嶋さんとオバタカズユキさんの対談の仕切り役をした時が、今生のお別れとなった。幾度かの入院治療のインターバルのタイミングで、身
日経ビジネス電子版で「『ア・ピース・オブ・警句』~世間に転がる意味不明」、日経ビジネス本誌では「『pie in the sky』~ 絵に描いた餅べーション」を連載中のコラムニスト、小田嶋隆さんが亡くなりました。65歳でした。 小田嶋さんには、日経ビジネス電子版の前身である日経ビジネスオンラインの黎明(れいめい)期から看板コラムニストとして、支えていただきました。追悼の意を込めて、2021年11月12日に掲載した「晩年は誰のものでもない」を再掲します。 時の権力者だけでなく、社会に対して舌鋒(ぜっぽう)鋭く切り込む真のコラムニスト。その小田嶋さんがつむぐ1万字近い原稿を、短い言葉でどう表現するか。記事タイトルを短時間で考える担当編集者にとっては、連載の公開前日は勝負の1日でもありました。 再掲載するコラムは療養中の病室から送っていただいた原稿です。「晩年」という言葉やそれを何も考えずに使う社
4月26日に、2022年3月の住民基本台帳人口移動報告が発表された。東京都の転入超過数は3万3171人で、前年同月比119%、新型コロナウイルス禍が本格化する直前の2020年3月と比べても82.5%の水準まで回復している。 コロナ禍になってからのこの1~2年、東京の人口が減少したというニュースに接する機会が多かった。最近でも、東京の暮らしにくさを強調し、東京から地方に脱出する流れが加速するだろう、という記事を見かける。 しかし、2022年1月から東京都の人口は転入超過、すなわちプラスに転じている。この回復傾向は今後も継続していく可能性が高い。東京一極集中が再び強まっていると筆者はみている。背景にあるのは、新型コロナに対する人々の意識の変化だ。 人々の意識は変わり始めている 筆者が所属する大東建託賃貸未来研究所が2022年3月に行った「6回目となる新型コロナウイルスによる意識変化調査」では、
先週は、当欄の執筆を断念した。 奇妙な言い方だ。 ふつうは、「お休みをいただいた」と書くところだ。 しかし、私は、この言い方を好まない。 なぜと言うに、私は誰かに執筆を命じられて働いているのではないし、許可をもらって書いているわけでもないからだ。もちろん、不特定多数の読者に記事掲載の機会なり媒体を「いただいて」いるのでもない。 だが、昨今の常識では、あらゆる機会なり動作なりを、誰かに「いただいたもの」として表現するのが通り相場になっている。 たとえば、天皇皇后両陛下の長女である愛子さまは、3月17日の成年の記者会見に際して、 「一つ一つのお務めを大切にしながら精一杯務めさせていただきたい」 と、「させていだたく」形式の言い回しを使ってスピーチをしている。 愛子さまの日本語が間違っていると言っているのではない。 気に食わないと申し上げているのでもない。 ただ、私としては 「させていただく」
ロシアによるウクライナ侵攻で、国際的な緊張感が高まる中、「権威主義的」な色合いを強める中国に注目が集まっている。そんな母国に対し、中国に住む中国人や日本など国外に住む中国人は、本音ではどう思っているのか。 今回は、日経プレミアシリーズ『いま中国人は中国をこう見る』より、中国人の国外を見る目の変化について抜粋してお届けする。 総面積は約63万平方キロメートル。京都と唐の時代の街並みを再現した広大なエリアで、中国企業と日本企業が共同で開発。約60億元(約1068億円)もの資金が投じられたビッグプロジェクトで、観光客らに人気の観光スポットになると期待されていた。 だが、開業から1週間で営業休止に追い込まれた。原因は、開業直後からネット上に広がった猛批判だった。「これは日本の文化侵略だろう」「かつて侵略された歴史を忘れたのか!」「大連に日本風の街並みを作るなど、中国に対する侮辱だ」……。 中国のS
「夢のようなオファーをもらった」。ベトナムの最大都市ホーチミンで、エンジニアとして働くクオンさん(27歳)の声は弾んでいた。2022年1月に英国に渡り、大手IT(情報技術)企業に就職する。提示された月収は約5400ポンド(約81万円)。現在は23万円弱なので、一気に3倍以上に膨らむ計算だ。 クオンさんは3年前まで東京都内のITベンチャー企業で働いていた。ベトナムの理系大学を卒業後、日本語学校の留学生として来日。週28時間以内のアルバイトが認められ、エンジニアとしての技術を磨いた。クオンさんは「社を挙げたプロジェクトの中心チームにも加えてもらい、やりがいがあった」と語る。 仕事が気に入ったクオンさんは日本語学校をやめ、アルバイト先に就職した。雇った社長も「日本人の社員4~5人分の業務を簡単にこなすほど優秀だった」と振り返る。 ベトナムと収入に大差なく ただ、残業を目いっぱいしても月収は20万
米アップルのスマートフォン「iPhone」の発売日にはアップルストア前に長蛇の列ができるのが、日本でも恒例だ。だが、今年9月24日のiPhone 13発売日は、新型コロナウイルス対策のため来店が予約制となったことで、行列はほとんど見られなかった。 しかし、行列が鳴りを潜めた理由はコロナ禍だけではない。調査会社のBCN(東京・千代田)が家電量販店などの販売データを基に集計した販売台数ランキングによると、10月に入り最新のiPhone 13シリーズ(最安のiPhone 13 miniで8万6800円から)の販売数減速が目立つ。 代わりに台頭するのが廉価版のiPhone SE(第2世代、4万9800円から)だ。iPhone全体に占める販売割合は約4割だという。
具体的には水素と二酸化炭素(CO2)を合成して造る液体燃料「e-fuel(イーフューエル)」の開発や普及を支援する。「人工的な原油」とも呼ばれ、ガソリンのようにエンジンで利用することが期待されている。これまではガソリンの燃焼でCO2を排出してきたが、CO2をリサイクルしたこの燃料を使えば、車のガス排出は新たなものというより「循環」に留められるとの理由だ。このほか、水素をそのまま使う水素エンジン車もあり、こちらはほぼCO2を排出しない。例えばトヨタ自動車は5月、静岡県で開催されたレースで水素エンジン車を世界で初めて参戦させた。 当初案から急きょ変更 11月中旬まで、経済対策の原案ではEVへの普及支援が目立っていた。「これだと100万人規模が関わるエンジン産業に対し、示しがつかない」と経済界に近い議員らが慌てた。内々に産業界の意向を探ると、裾野の広い部品メーカーへの配慮が必要という。政府はEV
(前回から読む) 2002年、取引先だった雪印食品が外国産牛肉を国産と偽っていたとしてその悪行を告発した西宮冷蔵社長の水谷洋一さん。あれからもうすぐ20年がたつ。雪印グループは、水谷さんの告発によって不正に関わった関係者が逮捕され、実質的に解体されることとなった。 しかし、水谷さんの人生も暗転してしまった。 告発後、雪印食品以外の荷主から「申し訳ないけど、もう預けられない」などと言われ、詳しい理由を告げられないまま、9割の荷物が消えていった。西宮冷蔵は、国から「当時、偽装伝票を作るなど、不正に手を貸した」などとして1週間の業務停止命令処分を受けた。 資金繰りに窮し、告発から約10カ月後に休業に追い込まれた。告発したのに、まさか、自分が国から業務停止命令を受けるとは──。政官財が連携し、大企業に刃向かえばこうした仕打ちを受ける、という見せしめだと感じた。 不当な圧力には屈しない。「負けへんで
日本でもあらゆる産業でカーボンニュートラル(脱炭素)を強く意識した動きが加速しています。日経BPではこうした新しい経済潮流をテーマに、日経ビジネス、日経クロステック、日経BP総合研究所の共催で、11月25日(木)から4週にわたってオンラインセミナー「ゼロカーボノミクスを勝ち抜く経営ビジョン ~日本企業はどう取り組むべきか~」を開催いたします(視聴無料、事前登録制・先着順、記事末尾に詳細)。 >>11月25日開催分を申し込む >>12月2日開催分を申し込む 世界最大のCO2排出国である中国に、もっと脱炭素を求めるべきだ――。そんな声がよく聞かれるが、中国は急速な経済発展で排出量を増大させつつも、太陽光パネルの生産・導入の両方で世界のトップを独走している。「脱炭素時代の石油」になることが確実視される太陽光発電における中国の実力はどれほどのものなのか。日本総合研究所の井熊均フェローら4人がまとめ
日本でもあらゆる産業でカーボンニュートラル(脱炭素)を強く意識した動きが加速しています。日経BPではこうした新しい経済潮流をテーマに、日経ビジネス、日経クロステック、日経BP総合研究所の共催で、11月25日(木)から4週にわたってオンラインセミナー「ゼロカーボノミクスを勝ち抜く経営ビジョン ~日本企業はどう取り組むべきか~」を開催いたします(視聴無料、事前登録制・先着順、記事末尾に詳細)。 >>申し込み(11月25日開催分)はこちら 菅義偉前首相のカーボンニュートラル宣言によって、日本は脱炭素という経済競争へと踏み出した。欧米は新型コロナウイルス禍からの経済復興の中心に脱炭素を据え、100兆円規模の予算を投入していくが、日本の予算規模はわずか2兆円。この数字の差にはどんな意味があるのか。このほど日本総合研究所の井熊均フェローら4人がまとめた新刊『脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス』
この一週間ほど、「しゃべる」ことについて考えている。 私たちは、話をする対象が個人なのか、不特定多数であるのかによって話し方や話の内容を微妙に変化させている。また、クローズドな環境で話をするのか、オープンな環境で話すのかによって、あるいは、対話の内容が記録されるのかどうかで、話題を使い分けている。まあ、当然ではある。気のおけない親しい友人と、その場限りのジョークを投げつけ合うみたいな対話は、もはやレアケースなのだろう。 あらためて考えてみるに、語り手が自在にしゃべっているつもりでいる「話」にしたところで、21世紀に突入してからこっち、いつの間にやら、オープンな場所に漏れ出てしまっている。さらに、われわれの「話」は、公的なコンテンツとして記録・共有され、不特定多数の他人によって野放図に拡散される次第になっている。 つまり、われわれは、しゃべることの自由を喪失しつつある。 インターネットが情報
1931 年 9 月 21 日生まれ。58 年に東京大学大学院博士課程を修了後、米国で気象研究に携わる。米環境科学局地球流体力学研究室上席気象研究員、米国海洋大気庁(NOAA)地球流体力学研究室上席気象研究員などを歴任。97~2001年、海洋科学技術センター(現在の国立研究開発法人海洋研究開発機構・JAMSTEC)地球フロンティア研究システムで地球温暖化予測研究領域長を務める。現在は米プリンストン大学上席研究員、JAMSTECフェロー 米国では、地球温暖化現象そのものに対する疑念があったと思いますが? 真鍋 温暖化が起こっていることについては、米国でも議論の余地はありません。現在の気温の上昇は、世界的な観測結果から明らかです。過去600年くらいの地表面の温度変化を分析すると、1900年ころから急速に上昇しているのがわかります。これまでに0.7℃くらい気温が上がっているでしょうか。この100
中国、河南省の官荘遺跡から出土した鋤(すき)型の青銅の硬貨「布銭(ふせん)」。中国最古の硬貨で、世界最古の硬貨の可能性もある。(PHOTOGRAPH BY HAO ZHAO) 中国東部の河南省にある官荘遺跡を発掘していた考古学者たちが、世界最古の貨幣鋳造所を発見した。約2600年前、農具である鋤(すき)の形を模した青銅の硬貨「布銭(ふせん)」を量産していたという。8月6日付で学術誌「Antiquity」に論文が発表された。 世界で最初に鋳造貨幣がつくられた場所は、現在のトルコとインドと中国の3カ所のいずれかと考えられている。しかし、はっきりと年代が確認された鋳造所は見つかっていなかった。「現時点で、官荘の鋳造所が、確実に年代を特定できるもっとも古い貨幣鋳造所です」と、中国、鄭州大学の考古学者で、論文の筆頭著者である趙昊(ジャオ・ハオ)氏は話す。 論文によると、城壁と堀を備えた城郭都市の官荘
ニュージーランドは、フィヨルドランド国立公園(写真)をはじめとする驚異的な地質景観に恵まれている。こうした景観は、謎に包まれた8番目の大陸「ジーランディア」のほんの一部にすぎない。このほど、ニュージーランドの東海岸の地下に古代の超大陸の陸塊が隠されていたことが明らかになり、ジーランディアの複雑な過去を解き明かすカギとなることが期待されている。(PHOTOGRAPH WESTEND61 GMBH, ALAMY STOCK PHOTO) 南太平洋に、マオリ語で「テ・リウ・ア・マウイ」と呼ばれる失われた第8の大陸「ジーランディア」が隠れている。現在、約490万平方キロメートルにおよぶジーランディアの大半が海底下にあり、ニュージーランドの島々は海上に突き出たこの大陸の一部だ。 ジーランディアは最近になってその存在が科学者たちに認められた。これまで知られている中で、最も多くの部分が海中にあり、最も薄
だが米国以上にユニークなのが日本だ。アジアの多くの国と同じように日本のリーダーシップは階層主義的だ(図の右半分)。上下関係がはっきりしていて、部下が人前で上司に意見することはめったにない。リーダーシップが階層主義的な国の多くは、意思決定はトップダウン型になる(図右上)。迅速で柔軟、一度決まったことでもすぐに変更や修正がある。中国やインドがこうしたケースだ。一方、日本の意思決定は合意型だ(図右下)。組織のなかで合意を積み上げていく。意思決定に時間はかかるが、ブレずに迅速に実行される。 リーダーシップと意思決定という2つの指標で、日本ほど正反対の極へ大きく振れる国は他にない。階層主義と合意主義の共存という珍しいパターンが、他文化の人から見て日本の組織やリーダーは分かりにくいという印象を与え、摩擦を生む原因になる。同じようにヒエラルキーを重視するにもかかわらず、インド人は日本人リーダーが意思決定
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