看板が並ぶ中心部の商店街。営業していない店もある=鹿児島県出水市、長沢幹城撮影 パイオニア約600人、NEC約370人。人口5万7千人の鹿児島県出水(いずみ)市から合わせて1千人分の職が消える。仕事がなくなり、消費が冷え込み、市が使える金も減る……。産業の柱がなくなる影響が出始めている。(古城博隆、吉川啓一郎) 「ずいぶん人の行き来が減った」。平日の夕方、工場そばの畑で女性(70)はサトイモ収穫の手を休めて言った。工場の敷地には父の代に売った畑の一部が含まれ、おいの勤め先でもある。 「小さな町の大きな工場。みんな何かしらかかわり合いがある」 約4キロ離れた商店街。72年にアーケードをかけようと組合をつくったときには37店あったが、今は17店だ。 そんな商店街にとって工場は「上得意」だった。2月末に閉鎖されたパイオニアと取引していた文具店の女性は「400本、500本単位で売れていた