技術面を考えてみたとき、サイクリングは実にシンプルなスポーツだと思う方もいるだろう。しかし、ペダリングの仕方およびペダリング効率を最大限にするためにはどうしたらいいかといった理論が、長きにわたって発展してきているのも事実だ。 臨床的見地からすると、自転車は固定された弧を描きながら動く両脚を支えているといえる。丈夫な靴を履き、シュークリートをペダルに固定し、基本的に足がクランクアームの先端に取り付けられているというわけである。ペダルを回したとき、この「閉鎖された環」は極めて予想に近い動きを見せ、人によってスタイルが違ってしまうということはほとんどない。 実際のところ、ペダリング中の足の動きのパターンについての研究を見てみると、運動レベル、地形、シッティングかダンシングかに関係なく、全サイクリストの足の動きはかなり似通っている。これは、ランナーの脚の運びや水泳の自由形での腕の動きが千差万別