ジリジリと焦がすような、容赦ない日差しが降り注ぐ八月の初め。 基町クレド前の大型ビジョンを眼前に、山岸ユイは携帯電話の時計を見た。 待ち合わせは9時半。あと、10分ある。 (早く着きすぎちゃったかな~) 今日は、友達グループで、宮島の包ヶ浦自然公園に行くことになっている。 遅刻してはいけないと思って早く家を出たが、どうやら一番に到着してしまったようだ。 (誰か早く来ないかな~) ユイは暇をもてあまして、噴水の縁に腰掛けて、行き交う人々を見ていた。 この中に、あの人はいないだろうか。 「山岸……?」 「えっ?」 不意に名前を呼ばれて、ユイは面食らった。 そこに居たのは、ユイが思い描いていた人物だったのだ。 (夏川君!!) ユイは、驚いて心臓が口から飛び出しそうだった。 夏川准汰は、サッカーをするためにサッカーの名門校・翔実学院高校へ行ってしまった。 そのため、出澪高校に通う