「国民読書年」として幕を開けた2010年。「トルストイ没後100年」「チェーホフ生誕150年」、また「ショパン生誕200年」などの節目にあたり、関連書が多数、出版されました。「日韓併合」「大逆事件」からもちょうど1世紀とあって、ノンフィクションに親しんだ方も多いことでしょう。一方、「電子書籍」という“黒船”が姿を見せ始め、読書の風景そのものが変わろうとしています。今週から2回にわたってお届けするのは、書評執筆陣が選ぶ年末恒例の「この3冊」(五十音順に掲載)。本をよすがに、この一年を振り返ってみましょう。 ◇荒川洋治(現代詩作家) <1>『現代語訳 榎本武揚 シベリア日記』=榎本武揚著、諏訪部揚子・中村喜和編注 (平凡社ライブラリー・1470円) <2>『リュヴェルスの少女時代』=ボリース・パステルナーク著、工藤正廣訳 (未知谷・2100円) <3>『死体について 野間宏後期短篇集』=野間宏