★『耳をすませば』の何に泣くかよくよく思い出してみると、前半でほぼ恋のはじまりから両思いまでの甘い展開があるのに、両思いになってから「私は彼にふさわしい人間ではないのではないか」と、自分と相手とのつりあいなんかを考えはじめて、言葉にはされていないものの「このままでは相手に置いていかれてしまう=嫌われて恋愛が終わってしまう」的な恐怖と、それまではそこまで必死に考えていなかった自分自身の生き方みたいなものを、恋愛をきっかけに考え始めるということが同時に起こってしまい、すごい焦燥感とともに「自分のやりたいこと」が発動する切実な感じが、いちばんうっと来る。恋愛のあまずっぱさに泣けるというのとは、ちょっと違っていて、あの焦燥感とか、このままでは置いていかれるとかいう怖い怖い感覚がすごくわかるから、いつもそこがいちばん泣くところになっている。あのあたりのシーンだけ、主人公と自分の距離が縮まって、他人事