須弥山の須弥とは梵字「Sumeru」(スメール)の音写で妙高と訳される。古代インドの宇宙観で、一須弥世界の中心にある高山を指す。仏教ではこの須弥山説を踏襲しており、江戸末期にはこれを一般に易しく理解させるため、リンが鳴り太陽と月が時計仕掛けで動く模型を考案した。これが「須弥山儀」である。 仏教宇宙観は「倶舎ぐしゃ論」(5世紀頃、世親作)に詳しく、それによると宇宙空間(虚空)には巨大な風輪が浮かんでおり、その上に水輪が、さらにその上には金輪こんりんが浮かんでいる。水輪と金輪の境目は「金輪際」と称され、金輪上には海水が満ちてあり、最外周は海水が流出しないように鉄でできた鉄囲山てっちせんで囲まれている。金輪の中央には金・銀・瑠璃・玻璃の四宝でできた須弥山がそびえ立っており、その高さは海抜8万ヨージャナ(1ヨージャナは約7Km)。その周辺を九山八海くせんはっかいが交互に存在し、八海には八功徳水はっ