「つい冗談で」、子どもをからかっていませんか? アメリカ、カナダ、スウェーデンの共同研究では、親の嘲笑・敵対・拒絶的な教育によって子どもの感情コントロールが機能不全に陥り、いじめの加害者になるリスクが急増することが判明しています。 しかも、そうした子どもたちは、加害者だけでなく被害者になるリスクも同様に高まるとのこと。 研究は、2019年5月24日付けで『Journal of Youth and Adolescence』に掲載されたものです。
古代ローマ帝国の第3代皇帝、カリグラ。 世間的には「カリギュラ」の呼び名で通っており、歴史の好きな方であれば、その”狂気の変態ぶり”をよくご存知でしょう。 実の妹と近親相姦したり、周囲の男性と性行為を繰り返したり、あるいは気まぐれで人を殺したり、海に戦争をしかけたりしました。 こうした奇行っぷりからカリグラは、古代ローマ史において暴君ネロと並ぶ悪名高い皇帝の一人に数えられます。 しかし意外にも彼は幼少期から周囲にとても可愛がられ、皇帝に即位したときはローマ市民から歓呼の声で迎えられました。 では、一体何がカリグラを”狂気の変態皇帝”に変えてしまったのでしょうか? その激烈な人生に迫ります。 目次 兵士たちのマスコットだった幼年期、「カリグラ」の由来は?第3代ローマ皇帝に!群衆のヒーローとなる突然の豹変!「狂気の変態皇帝」へ 兵士たちのマスコットだった幼年期、「カリグラ」の由来は? カリグラ
イギリスのケンブリッジ大学(Cambridge)で行われた研究により、卵母細胞の秘密が明らかになりました。 私たちの体内で細胞は時間とともに変化し続け、皮膚や血液の細胞はわずか数か月で新しいものに入れ替わり、骨の細胞も数年で更新されます。 しかし、その中にあって卵母細胞は際立って長寿であり、50年近くも体内で休眠状態を保ちながら、必要な時には新しい命を育むことができます。 この驚くべき能力は、どのようにして維持されているのでしょうか? 研究内容の詳細は2024年6月20日に『Nature Cell Biology』にて公開されました。
ワームホール航法の基礎理論が発表されました。 3月9日に『Physical ReviewLetters』および『Physical Review D』に掲載された論文では、既存の物理学の常識を破らずに、ワームホール内部を航行し、銀河のあらゆる場所に1秒未満で到達する方法が提案されています。 ワームホール航法というと、なにやら怪しげな雰囲気を感じますが、論文が掲載され『Physical ReviewLetters』および『Physical Review 』誌は権威ある科学雑誌であり、信ぴょう性は高いでしょう。 つまり、ガチよりのガチな超光速理論というわけです。 有名な科学雑誌の査読に耐えた超光速理論とは、いったいどんなものなのでしょうか?
イタリアのカリアリ大学(UniCa)で行われたラット研究により、アルコールとエナジードリンクの「カクテル」は脳に永続的な後遺症を残すことが示されました。 アルコールとエナジードリンクのカクテルは、エタノールの鎮静効果とエナジードリンクの高揚効果を組合わせることで、自分が酔っているかどうかをわからなくさせ、通常よりも深い飲酒につながることが知られています。 研究によると、この危険なカクテルを若い頃から飲んでいた人は、後年の調査でも発見可能なほど脳に永続的な変化が起きてしまっており、記憶力の低下などの悪影響が起きている可能性が示されました。 アルコールとエナジードリンクは脳で何を起こしてしまったのでしょうか? 研究内容の詳細は『Neuropharmacology』にて公開されています。
現代人の悩みは古代エジプトから存在していたようです。 今日のデスクワーカーに特有の「座りっぱなし」は、腰痛や肩こり、関節痛など、様々な健康問題を引き起こしています。 これはデスクワークが急激に増えた現代ならではの悩みと思われていました。 しかしチェコのプラハ・カレル大学(Charles University)らの研究により、古代エジプトの書記官も座りっぱなし仕事のせいで、かなりひどい関節痛に悩まされていたことが明らかになったのです。 研究の詳細は2024年6月27日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されています。 Ancient Egyptian ‘office workers’ had terrible posture just like us, disfigured skeletons reveal https://www.livescience.com/arc
その時代の文明にはそぐわない、当時の技術力では説明ができない遺物のことをオーパーツと呼びます。 人類はこれまでに数多くのオーパーツを発見してきましたが、中でも特に有名なのが「アンティキティラ島の機械」です。 これは古代ギリシャ時代の遺物であり、長年の研究から天体運行を計算するためのツールであることが確実視されています。 さらに今回、英グラスゴー大学(UofG)の最新研究により、これまで知られていなかった用途が明らかになってきました。 それによると、この機械は354日周期の太陰暦カレンダーとして使われていた可能性が高いようなのです。 それでは、アンティキティラ島の機械の謎を一緒に追ってみましょう。 研究の詳細は2024年6月27日付で学術誌『Horological Journal』(PDF)に掲載されています。 GRAVITATIONAL WAVE RESEARCHERS CAST NEW
高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……? 第10位 セイヨウイラクサセイヨウイラクサ / Credit:Franz Xaver(Wikipedia)_Urtica dioicaセイヨウイラクサ(学名:Urtica dioica)はニュージーランドや北アメリカなどで生育する植物です。 葉と茎のトゲには神経毒が含まれており、皮膚に刺さると、かゆみや痛み、炎症を引き起こします。 毒の力は弱く、ほとんどの場合は医師の診察さえ必要ないでしょう。 しかし稀にセイヨウイラクサで命を失う人もいます。 ニュージーランドに住む若い男性は、セイヨウイラクサの生い
現在のフリーランスに近かった浪人宮本武蔵、長年浪人を続けていた彼だが56歳の時に熊本藩に客分として招かれた / credit:Wikipedia一般的に浪人は「主君に仕えていない武士」を指すイメージがあり、時代劇などでは「お尋ね者」や「さすらいの旅をしている武士」といった役割で登場することが多くあります。 江戸時代の浪人は武士としての公的な身分こそ失っていたものの、名字帯刀が許されているなど、世間一般からは武士として扱われていました。 その日常生活は後述するような例外を除けば一般の町人と同じであり、手工業や日雇い労働で日銭を稼いでいたのです。 そんな浪人ですが、他の武士から浪人であるという理由だけで軽視されていたわけではありません。 例えば弘前藩(現在の青森県西部)では、家来が「武芸の修業がしたい」と届け出をした書物が残っており、そのときに家来が修業をつけてもらう予定の師匠についても書かれ
科学の理論分野の研究においては、議論を行うために大胆な仮定を導入することがあります。 この方法は時間・空間・金銭などの理由で人間の手で再現困難な状況について考えたいときに特に有効です。 例えばアインシュタインらは光速に近い速度で飛ぶことができるロケットの存在を仮定して特殊相対性理論を考察したと言われています。 このような試みは思考実験と呼ばれます。 実際にやってみることが難しくても、その状況を頭の中でシミュレーションすることで科学者は数多くのヒントやひらめきを得てきました。 思考実験は科学の歴史にとって有益な営みです。 そして思考実験は同時に、超人的な能力を持つ存在を仮定することで、研究者の頭を悩ませるような問題を生み出してきたという側面もあります。 その存在は「悪魔」と呼ばれています。 悪魔は研究者を苦しめ、しかし確実に科学を前へ進める存在として立ちはだかってきました。 今回はその中でも
モアイ像で有名なイースター島について、以前からこんな通説が広まっています。 「イースター島はかつて数万人規模で繁栄していたが、モアイ製造に狂って採石や伐採などの過剰な環境破壊を続けた結果、人口崩壊を起こし1722年にヨーロッパ人が到着する頃には数千人しか残っていなかった」 この説からイースター島は、”文明崩壊を起こした場所”の代名詞として世界的に語られているのです。 しかし、この物語は真実ではなかったのかもしれません。 米コロンビア大学(Columbia University)の最新研究で、イースター島の人口は元から4000人程度であり、そもそも人口崩壊など起きていなかったことが示されたのです。 研究の詳細は2024年6月21日付で科学雑誌『Science Advances』に掲載されています。 Study Challenges Popular Idea That Easter Islan
四肢切断の転換点は近世初期のヨーロッパにあり四肢の切断手術が必要になることも / Credit:Canva医療の現場では、患者の命を救うために四肢を切断することがあります。 例えば、交通事故に遭い、辛うじて手や足が残っていたとしても、その部位の損傷が激しく、細胞組織の壊死に至る場合があります。 壊死した部位は血液が通わなくなり、酸素や栄養が届かないため、再生することができません。その結果、壊死した組織は腐敗し感染源となったり有毒物質を出し、それが血液に乗って全身へ広がります。 そのため壊死を放置することは非常に危険で命を脅かすものとなるため、四肢切断が必要となるのです。 また壊死は糖尿病や動脈硬化などで起きることもあるため、近年では、これらの疾患に対処するために四肢切断が行われることも増えているようです。 しかし、四肢切断という外科手術が定着するまでには、いくつかの転換点がありました。 ハ
人と待ち合わせするとき、私たちは4次元を使っている待ち合わせするときは何を決める? / Credit:canva物理や数学の話に、4次元とか五次元という単語が出てくると、「ああもう無理! たぶん理解できない」なんて気分になってしまいますが、慌てることはありません。 大抵の場合、次元というのは、計算するために必要なパラメータ(変数)はいくつかと言っているに過ぎないからです。 これはもっとわかりやすい言い方をするなら、次元とは位置を特定するために必要な情報の数のことです。 例えば誰かと待ち合わせをすることを考えてみましょう。 そのとき、あなたは相手とどんな取り決めをするでしょうか? まずは場所を決める必要がありますね。普通は駅名とかで決めますが、場所は地図上のXYという2つの軸座標で指定されるので、2次元の情報です。 地図の位置は2次元情報。 / ©Google もしそれが建物の場合には、「何
風邪をひく人とひかない人。 かつて人々は、その違いをあくまで「確率の問題」と考えていました。 古い諺に「バカは風邪をひかない」というものもありますが、知能と風邪の相関関係を本気で信じていた人はいなかったでしょう。 ですが新型コロナウイルスのパンデミックが起きると、発症する人としない人の間には単なる確率以外の要因、たとえば民族の違いや体質の違いなどに焦点があてられるようになりました。 実際、いくつかの疫学研究では発症率や重症化の度合いに明らかに地域差があることが報告されました。 日本人が欧米人に比べて新型コロナウイルスの「影響を受けにくかった」というニュースを聞いた人もいるでしょう。 しかし疫学的な観点とは別に、個人レベルでの抵抗力の差は解明されていませんでした。 ここで言う個人レベルとは「田中さんは新型コロナウイルスにかかったけど、一緒にいた鈴木さんはかからなかった」という場合です。 現代
教師が子供を鞭で打っていたかつてのヨーロッパ学校での笞打ちを描いた風刺画、ジョージ・クルックシャンク作 / credit:wikipedia体罰は現在こそ先進国ではほとんど見られなくなりましたが、かつてのヨーロッパでは盛んにおこなわれていました。 例えば6世紀の聖ベネディクトゥスの定めた 『戒律 (Regula)』 (ベネディクトゥス修道会規則)には、 《児童の矯正の仕方について》 (1)修道士は皆,その年齢と理解力に応じた処遇を受けるべきである。 (2)そこで児童あるいは年少の者、あるいは破門の罰がどれほどに重いものかを理解できない者が過ちを犯した場合、(3) 彼らを矯正さ せるために厳しい断食に服せしめ、あるいは厳しい鞭の罰を加えなければならない。 という章があり、修道院の教育では子どもが悪事を働いた場合、鞭打ちや食事抜きといった罰を与えていたことがわかります。 また体罰が行われていた
痛みの男女差の根本が明らかになりました。 アメリカのアリゾナ大学(UA)で行われた研究によって、男女では痛みを感じる痛覚受容体そのものが異なっており、男性痛覚受容体と女性痛覚受容体が存在することが示されました。 男性と女性の痛みの感じ方が違うことは経験的に知られていましたが、受容体レベルの差がみつかったのは大きな発見と言えるでしょう。 研究内容の詳細は2024年6月3日に『Brain』にて「痛覚受容器は機能的に男性か女性か:マウスからサル、そして人間まで(Nociceptors are functionally male or female: from mouse to monkey to man)」とのタイトルで発表されました。
「草抜きする時は、根っこから抜きなさい」とよく言われたものです。 雑草は葉だけを刈り取ってもすぐに復活してしまうからです。 それでも、「根から抜くのは大変なので、草刈り機を使って定期的に刈ればよい」と考える人は少なくありません。 しかしそんな草むしりをしていると、飛んでもない事になる雑草が見つかりました。 アメリカのアーカンソー大学(University of Arkansas)に所属するルペシュ・カリヤット氏ら研究チームは、「ラシャナス(学名:Solanum elaeagnifolium)」と呼ばれる雑草が、継続的な草刈りによって生存能力を高め、「スーパー雑草」になると報告したのです。 研究の詳細は、2024年4月7日付の科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。 Mowing down this poisonous weed turbocharges it htt
近年、登山ブームの再来により、多くの人が新しく登山にチャレンジしています。 その影響もあり、山で遭難してしまう人のニュースも頻繁に目にするようになりました。 こうした背景にあって、最近、アメリカ・コロラド州の都市デュランゴを拠点とするヘリコプター会社「コロラド・ハイランド・ヘリコプターズ(Colorado Highland Helicopters)」は、遭難者の携帯電話を利用した遭難者発見システムのテスト運用を行いました。 ヘリコプターに、いわば「小型の携帯電話基地局」を搭載し、遭難者の携帯電話と交信することで、遭難者の正確な位置を把握できるというのです。 「どうして、これまで採用されていなかったのか」と言いたくなる技術ですが、今後はこれにより、一層多くの人を助けることができるはずです。 New technology may help find missing people in Colo
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