明治大学法学部教授、大学史資料センター所長/図書館長 村上 一博 明律大学の同窓会が行われた「甘味処・竹もと」の包装紙(展示品) 第21週は、寅子と航一の結婚、特に夫婦の氏を巡る寅子の葛藤がメインでした。ご存じのように、戦後に改正された現行民法第750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定し、夫婦同氏(姓)の原則をとっています。夫婦別氏は、寅子の再婚の時期(昭和30年代)では(そして現在も)、法律上認められていませんから、寅子は、航一と再婚するに当たって、夫婦の氏を、佐田とするか星とするか迷うことになったのでした。 もっとも、我が国では、近代以前において、庶民階級は氏(苗字)を持っていませんでしたし(私的に名乗っていることはありました)、特権的に氏を持っていた階級では、伝統的に夫婦別氏が原則でした。明治時代になって、国民すべてが氏を持つようになっても、結婚