コンブ漁が盛んな北海道の利尻島。漁業者がとれたコンブを並べる「干し場」があちこちにあるが、近くに巣をつくるカモメをめぐり、ある問題が起きている。営巣地近くに漁網やテグスが張られ、絡まって苦しむカモメの姿も見られる。島を訪れた旅行者はその光景に驚き、ネット上では問題を指摘する声も上がっている。なぜこのようなことが起きているのか。 利尻島はウミネコやオオセグロカモメといったカモメ科の鳥の繁殖地。なかでもウミネコは年に約3万羽が本州から飛来し、繁殖地としては国内最大規模だ。 ササが生える原っぱでは初夏、あちこちに巣が作られ、親鳥がヒナに餌を運んでいる。利尻山を背に群舞する雄大な光景は圧巻だ。 5月中旬、記者が別の取材で島を訪れた時、早稲田大野生動物生態学研究室の風間健太郎准教授(41)が、瀕死(ひんし)のウミネコを見つけ、栄養液を与えていた。 この場所はウミネコの営巣地だが、漁業者がコンブを干す