財政破綻した夕張市では、総合病院が閉鎖に追い込まれた。ところが、夕張市で「医療崩壊」は起きなかった。医師の森田洋之さんは「財政破綻の前後で夕張市の死亡率はほぼ変わらない。むしろ総合病院の閉鎖で訪問医療が普及し、自宅で『老衰』を迎えられる人が増えた」という――。 ※本稿は、森田洋之『日本の医療の不都合な真実』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。 なぜ財政破綻した夕張市は医療崩壊しなかったのか 2007年、北海道夕張市は財政破綻し、日本中の大ニュースとなりました。 この財政破綻にともない、市内に一つしかなかった病院である「夕張市立総合病院」が閉院となりました。 具体的には、市が破綻して財政再建団体になったことで、171床を持つ市立総合病院が、19床の有床診療所と老健(介護老人保健施設)に縮小されました。 簡単に言えば、夕張市が提供できる医療は「町のお医者さん」的なイメージの医療だけになっ