高福祉・高負担で知られるスウェーデンの「素顔」を前回の当コラム(2009年8月25日「スウェーデン・モデルは成功か失敗か」)で紹介した。社会保障給付費のGDP(国内総生産)比を見ると、日本の27%に対してスウェーデンは52%と2倍近くに達する。 高福祉・高負担の社会は、税金が高いために競争力が低下して活力を失い、国家が衰退する・・・。そう言われてきたが、果たして本当なのだろうか。今回は企業を取り巻くビジネス環境に焦点を合わせ、この国の「素顔」を紹介したい。 厳しさ増す雇用環境、失業者対策で「起業」促進 「市場原理主義か否か」――。そういう単純な二分法では収まらない、様々な企業形態がスウェーデンには存在する。 簡単に言えば、誰でもたとえ外国人であっても、簡単に会社を設立できてしまうのだ。所有者が1名だけの有限責任会社(Aktiebolag)、すなわち会社をつくる本人が株式を全額保有する会社も
11月2日、オバマ米大統領(右)は、向こう数週間か数カ月間に雇用が一段と失われるとの見方示す。写真は経済再生諮問会議の会合に望む大統領。隣は議長を務めるボルカー元FRB議長。ホワイトハウスで(2009年 ロイター/Larry Downing) [ワシントン 2日 ロイター] オバマ米大統領は2日、向こう数週間か数カ月間に雇用が一段と失われるとの見方を示した。一方で、1月の大統領就任以降に経済は上向き、大きく足場を固めたと述べた。 大統領はホワイトハウスで行われた経済再生諮問会議の会合に先立ち、現在の失業ペースは「悲惨」とし、労働市場はすぐには改善しないとの見方を示した。「向こう数週間か数カ月間に、引き続き一定の雇用喪失が見られると予測する」と述べた。 大統領はまた、世界・米国の金融危機時に始まった深刻な落ち込みを経て経済は安定化し始めていると指摘した。その上で、依然道のりは長く、政策担当者
for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up [東京 29日 ロイター] 財務省の野田佳彦副大臣は29日、ロイターのインタビューに応じ、藤井裕久財務相の代理として出席が予定される11月6─7日の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(英セントアンドリュース)について、意見交換を行う場があれば、1)為替は安定が望ましい、2)通貨安競争は避けるべき、3)日本は円高を容認しているわけではない──の3点を伝える意向を示した。 ただ、G20は為替を主たる議題とする場ではないと述べ、主要議題にはならないと語った。 また、9月下旬に開かれたG20首脳会合(金融サミット)から世界経済動向に劇的な変化はみられず、出口戦略のあり方については検討を継続することにな
★★★★☆ (評者)池田信夫 チャイナ・アズ・ナンバーワン 著者:関 志雄 販売元:東洋経済新報社 発売日:2009-09-25 クチコミを見る 著者は私の元同僚だが、経済産業研究所が経産省の北畑官房長(当時)によって解体され、初期の研究員がほとんど辞めたとき、あいさつで「日本も社会主義だということがよくわかった。中国のほうが先に社会主義を卒業するのではないか」といって笑いを誘った。 本書はタイトルだけ見ると、ありがちな「中国バンザイ本」と混同されかねないが、中身は中国の光と影を客観的なデータにもとづいてバランスをとって描いたものだ。特に著者が5年前に言ったように、中国は日本と意外に似ている点が多い。古く非効率な国有企業が大量に残る一方、「郷鎮企業」とよばれる新しいベンチャー企業も数多く生まれ、「双軌制」とよばれる二重構造ができている。政府は前者を補助金などで保護する一方、新しい企業の市場
行政刷新会議の「無駄取り」という無駄 きのうのアゴラ起業塾では、民主党の藤末健三氏にきびしい注文がついたが、中でも秀逸だったのは、郵政省の元高官の「あの行政刷新会議というのは何をやっているのか」という質問だった。「何が無駄かという基準がなければ、無駄をなくすことはできない。その基準を決める国家戦略室が開店休業状態なのに、誰がどういう基準で無駄と判断するのか。これはコンピュータでいえば、設計が決まってないのにデバッグをやるようなものだ」。 藤末氏も、戦略室が機能してないことは認めた。これは本来は財務省主計局に代わって各省庁の司令塔となるはずだったが、藤井財務相が「予算編成はわれわれの仕事だ」と反発したため、概算要求にも戦略室はまったく関与できず、菅直人氏は概算要求が締め切られた日の夜のNHKの番組で、「私も数字の中身はまだ見てない」と言っていた。戦略室は今のところ法的根拠のない暫定的な組織
インターネットというテクノロジーは10万人規模の直接民主制を可能にする。基礎自治体(市町村)のいくつかはミクシィ(mixi)とかのSNSで運営すればいい――。批評家の東浩紀さん(38)が深夜のテレビ番組で「政治の未来像」について大胆な提案をした。「そうなれば、政治家は今ほど必要ないのではないか」というのだ。 東さんが出演したのは、2009年10月24日未明にテレビ朝日が放送した討論番組「朝まで生テレビ!」。この日は「若者に未来はあるか?」がテーマで、人事コンサルタントの城繁幸さん(36)やフリーライターの赤木智弘さん(34)といった世代間格差について発言している20代や30代がパネラーとして登場したが、「朝生」の独特の雰囲気に飲まれてしまったのか、いまいち歯切れが悪い。そのなか、番組前半で若者側のパネラーとしては唯一、気を吐いていたのが東さんだった。 「いまさら『若者論』をやっても意味がな
ヨーロッパの多くの国々で左派政党の低迷が止まらない。古臭い主張ばかりを繰り返し、有権者からも見放されつつある彼らが、現在の経済危機という追い風を生かすためにはいったい何が必要なのか。 * ヨーロッパの左派にとって、今は大きなチャンスのはずだ。資本主義は危機に瀕している。経済は壊滅的な打撃を被り、失業率も上昇。経済危機に対処するために、政府が再び経済で大きな役割を担い始めた。右派の自由市場型世界観と一線を画した新しい選択肢を打ち出すための機は熟した。 しかし、ヨーロッパの20世紀型の古い左派政党は軒並み苦戦している。EU(欧州連合)の27カ国のうち20カ国は、右派の政治家が国政を担っている。フランスのニコラ・サルコジ大統領、イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ首相、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はいずれも右派の政治家だ。EUの4大国のなかで左派の首脳はイギリスのゴードン・ブラウン首相だけ。その
しかし、もはやそんな時代ではない。会社に奉仕して無理して体こわしても、挙句に放り出されるのが関の山だ。それよりも、いざというときには助け合う家族のほうに、普段からエネルギーを注いでおくのが当然。そういうふうに、だんだん変わっていくだろう。 私自身は女だから、終身雇用という幻想は過去にただの一度も持ったことはなく、だから社畜になるというインセンティブも全くなかった。会社のために無理して体を壊しても、誰も面倒など見てくれない、バカバカしい、自分と自分でつくった家族でなんとかしなきゃいけない、という考え方をずーっと持ってきた。今の若い層の方々は、おそらく私と同じ考えなのだろうと思う。 心配しなくても社畜はしばらくしたら絶滅するだろうけど という記事を読んで、どうにもこうにも気になってた話をちょいとばかり。というか、まぁ、ここ数日くらい、はてな界隈で話題になってた話は、最終的に「団塊世代の介護や医
政府が日本郵政の社長に元大蔵次官の斎藤次郎氏を起用した人事は、多くの人を驚かせたが、これは先日の概算要求と一体で考えると意味深長である。概算要求で95兆円、金額を明示しない「事項要求」を含めると実質97兆円以上にふくらんだ来年度予算は、財政破綻の可能性を示しているからだ。 現在の長期金利は1.3%台と落ち着いているが、以前の記事でも書いたように、この金利は財政の維持可能性リスクを反映しない「バブル」になっている疑いがある。国債を買っているのは個人投資家ではなく郵貯や銀行なので、「金融村」の群衆心理で相場が維持されているのかもしれない。国内で94%が消化され、合理的な運用を行なう外国人投資家がほとんど買っていないことも、その疑いを裏づける。 バブルは自己実現的だから、金融村の錯覚が横並びで維持されているかぎり大丈夫だが、過去の経験からみると、最終的には需給の限界を超えると一挙に崩壊し、投げ売
少し前の話だが、本石町日記さんが服部正也氏著「ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)」*1を読んで非常に面白かったというエントリを上げていた。 実はこの本を小生も持っていたのだが、これまで本棚の奥にしまったままだった。それを今回ふと取り出して読んでみたのだが、確かに面白い。最後の離任のシーンなどは、冒険ダン吉のラストシーンを彷彿とさせた*2。ネットで検索してみても、この本に素直に感動したという感想がいくつも見られる。 ただ、そうした物語的な面白さもさることながら、この本には現代の経済学者、特に国際援助や成長論を論じる経済学者に取って非常に意義のある内容が含まれているのではないか、と思った。現在のその分野では、ローマーとルーカスが内生的成長論を発展させ、スティグリッツがIMFの画一性を批判し、サックスが先進国によるアフリカ援助を唱導し、そのサックスの大上段をイースタリーが批判する、と
2005.01.26 『ルワンダ中央銀行総裁日記』を読んで/日記のようなもの(197) (4) テーマ:最近、読んだ本を教えて!(24005) カテゴリ:日記のようなもの 20年日本銀行に勤めた人が、国際通貨基金からの要請によって、アフリカの小国、ルワンダの中央銀行総裁に就任し、その財政赤字と国際収支の赤字の解消と経済の立直しに、ルワンダの人々と共に、尽力した記録が綴られた本です。 映画や小説が決して持ち得ない事実と思慮と努力の蓄積とその結果が淡々と述べられています。 通貨切下げ。 この言葉の意味を、本を読了した今でも理解できたとは思いません。しかし著者がルワンダ中央銀行総裁着任を要請された時、ルワンダはこの通貨切下げを行うように国際的な圧力を受けていました。 現地に着任後、ルワンダの大統領が著者の家に訪ねてきて、尋ねます。通貨切下げは行わなければいけないのか?その理由は何故か? そして著
今の自分は、出会った人や読んできた本によって、できあがっている あの小冊子は、新聞の付録だったのか、記憶が曖昧で定かではないのだが、1ヶ月に1回程度の頻度で届いていた気がする。オールカラーで内容もさまざまだった気がする。その中には、プロ野球の選手名鑑もあって、私は、母から受け取り、大切にしていた記憶がある。母は、…
10月13日、前原国土交通相は、羽田空港の24時間国際ハブ空港化を進めたいとの見解を示した。写真は羽田を飛び立つ日本航空の機体。9月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai) [東京 13日 ロイター] 前原誠司国土交通相は13日午前の閣議後の会見で、羽田空港と成田空港を一体運営することで羽田の24時間国際ハブ(拠点)空港化を進めたいとの見解を示した。 成田空港の発着枠が不足するなかで、国内・国際線を分離するこれまでの「内際分離」を見直し、地方から韓国の仁川(インチョン)空港経由で海外に渡航するケースが多い現状を打破するのが狙い。14日には千葉県の森田健作知事と会い、趣旨を説明する。 前原国交相によると12日に会談した大阪府の橋下徹知事は、韓国の2倍の人口がある日本は東日本と西日本にそれぞれハブが必要との意見を提案した。これについて国交相は「日本には現状ハブがなく、インチョンがハブ
9月4~5日にロンドンで開かれた20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、意味のある成果は1つしかなかった。「業績回復が確か」になり次第、自己資本の増強などを行うようTBTFに呼び掛けたことだ。 だがこの要求にすら、金融機関は反発している。G20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明採択に合わせ、JPモルガンは報告書を発表。G20が提案した金融規制改革を実行すれば、ドイツ銀行やゴールドマン・サックスの投資銀行部門の収益性は最大3分の1低下しかねないと警告した。 一方、金融機関の報酬体系への批判は問題のすり替えにすぎない。政治家が報酬を問題にしたがるのは、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン会長兼CEO(最高経営責任者)が労働者層の2000倍もの収入を得ていることを知れば、誰もが衝撃を受けるから。とはいえ高額報酬は問題の原因ではなく兆候だ。 TBTFが巨額の報酬を支払うこ
きのうの「アゴラ起業塾」で木村剛氏は、中小企業への貸し渋りが深刻化している現状を訴えました。次の図は木村氏のスライドから借りたものですが、銀行の中小企業向け融資が減少に転じたのは2年前ですから、これは「リーマンショック」とは無関係です。では原因は何でしょうか? その大きな原因は、2007年10月に成立した貸金業法です。次の図(これも木村氏に借りたもの)のように、2007年を境に貸出件数は激減して今年は2年前の1/3になり、倒産件数は2割増えました。 こうした資金を借りるのは多重債務のギャンブラーではなく、資金繰りに困った中小企業です。消費者金融については、浪費癖をコントロールできない債務者には金を止めるしかないという論理も成り立ちますが、中小企業が浪費のために資金を借りることはありえない。こうした資金のほとんどはつなぎ資金で、手形が落ちる半年先には返済できるものも多い。 特に最近、増えてい
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