前回の続きです。 今度は動詞に現れる畳音についてふれてみたい。繰り返すが今まで出した日本語の例は「反復」だがこちらは立派な「畳音」である。 例えば古典ギリシア語では完了体をこの畳音によって形成する。直説法能動体一人称単数形で見てみよう。 太字の部分が畳音部だが、そこに音韻規則があって単に頭のシラブルを繰り返せばいいというものではないことがわかる。まず母音が ε(e) になり、子音連続の場合は最初の子音だけが繰り返され、帯気音は対応する無気音になる(θ は今の英語の th の音ではない。帯気の t である)。語頭の子音が ρ(r)だと頭に ε を添えた上子音の ρを繰り返す。表の ῥίπτω(「投げる」)がその例だ。ριρῑφα とかなんとかにならないあたり、さすがソナントと言おうか、r が母音とみなされているサンスクリットみたいで感動するが、だからと言って ρρῑφα にもなりきれず、頭に
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