目次 「大王」のコミュニティ外交活動「家族」としての関係「条約」の関係外交における結婚交易 1. 「大王」のコミュニティ 前2千年紀後半(およそ前1500年から前1200年)の中近東世界は「グローバル」な時代であった。東はイランから西はエーゲ海、北はアナトリアから南はエジプトにいたる地域に、広い領域をもつ大国が成立し、各国は競合しながらも対等な国として外交関係をもっていた。そのような大国は、エジプトやメソポタミア南部のカッシート朝バビロニア、アナトリアのヒッタイトであり、メソポタミア北部・シリアでは当初はミタンニ、前14世紀にはアッシリアがこれに続くこととなった。また、これらの大国の間に位置するシリア・パレスチナには、大国に従属する都市国家があった。 前13世紀ごろの古代中近東世界 古代中近東世界では、前16世紀末から15世紀にかけて各地に勢力が拮抗する領域国家が成立するようになっていた。