中学への進学を控えた小学六年生の冬、クラスで卒業文集を作ることになった。 自分のプロフィールに将来の夢や好きな食べ物などを羅列したり、クラスメートに向けたメッセージを書き込んだりと、定番のコンテンツを書き連ねていく中で、担任の教師がひとつのある提案を出した。 「みんなで詩を書こう」 私はそれまで詩を書いたことなどなかった。いや、クラスメートの大半には作詩の経験などなかっただろう。誰にも見せられないノートの中に日々ポエムを書き留めている感性豊かなマセた子も中にはいたかもしれないが、とにかく私達はほぼ全員、教師の思いつきで初めての作詩に挑むことになったのだ。 「書き方がよくわからないという人のために、ここに例を置いておくから参考にしなさい」 そう言って教師が掲示板に貼りだした詩の中身は、だいたいこういった感じである。 タイトル「雑草」 雑草はすばらしい。 夏の暑い日にも、冬の寒い日にも、倒れる
![雑草になりたい|七億ちゃん|note](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f4519347ca92dbc5a166f7d40127400e13c9f48d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F24543916%2Fprofile_7fdeac4a69001692f6399eb20d38e5db.jpg%3Ffit%3Dbounds%26format%3Djpeg%26quality%3D45%26width%3D330)