東京電力は29日、福島第1原発事故で避難区域となった福島県11市町村の住民が所有する宅地の不動産や家財の賠償請求の受け付けと支払いを始めると発表した。支払いは最短で4月下旬に開始するという。東電はこれまで、避難者に精神的損害や営業損害などを支払ってきた。財物賠償の支払い開始により、避難先で新しい住宅を購入するなど生活再建が本格化する。 建物の賠償額は、固定資産税評価額もしくは平均新築単価を基に、築年数や構造に応じて算出。被災状況によって個別に評価する方法も選択できる。家財については、世帯人数や家族構成に応じて設定した定額を支払う。 東電はこれらの基準を昨年7月に公表していた。請求手続き開始がその約8カ月後と遅れた理由について、福島県庁で会見した石崎芳行・東電福島復興本社代表は「未登記の不動産への対応に時間がかかった」などと説明。数十年前の所有者のまま登記が更新されていないケースが多数あ