ブックマーク / www.ebook2forum.com (15)

  • 出版デジタル機構は何をもたらすか – EBook2.0 Magazine

    経産省「緊急電子化事業」に続き、同省傘下の産業革新機構からの「最大150億円の出資」、それに大手出版社の約20億円の出資という話題満載で、(株)出版デジタル機構(SDK)が4月2日に設立された(ロイター、3/29)。事実関係は公式発表でご確認いただくとして、別の問題を指摘しておきたい。自由であるべき出版社が共同で設立した、事業性が希薄な企業への出資に政府が大規模な支援を行うということ、そしてそれが何をもたらすのかということである。 ビジネスには投資と回収がある。理論上の最大株主となる産業革新機構(INCJ)は、9割あまりを政府が出資する投資ファンドだが、投資方針として「事業計画の実現可能性」「投資収益性」「社会に与えるインパクト:投資インパクト」を明記し、決算では利益を計上している。もっともAIJのようなケースもあるので、実際に儲かっているかどうかは、15年の設置期間を終えた時点でないと分

  • E-Book再考 (9):読者/顧客/消費者の変貌

    かつて情報社会とか消費社会という言葉があった。その中身は大きく変わっているのだが、何が変わったのかは検証されておらず、漠然と同時の教科書的知識が陳腐化されて生きている。新しい現実と仮想的バリュー・チェーンを発見した企業は「常識」を破壊しつつ成長を続け、そうでない企業は漂流している。それぞれの仕方で消費者/顧客を再発見し、コンタクトできないと、勝負にならない。 紙と印刷によってビジネスとしての出版が生れた。デジタル化によって物理的実体を失い―まだ印刷の影でしかないとも言えるとしても―モバイルWebの上を移動する存在となったことで、従来の枠にとらわれずに発想する可能性と必要性が生れている。連載ではさまざまなことを取り上げてきたが、まだ大きな問題が残されている。それは「読者」と「編集」である。畢竟この2つは深い関係にあり、独立して論じると重要な論点が落ちると思われるからだ。これらは筆者も未知

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2012/02/21
    「「顧客」「消費者」「ユーザー」などの一般的なマーケティング用語は、この業界ではあまり使われない。」たしかに。
  • E-Book再考(6):出版社は何のためにあるのか

    ××は何のためにあるか、などという懐疑は、余裕のある時でもないと考えない。まして自分の仕事に直接関係する場合には、忘れていたいテーマだ。多くの人がそうしているし、他人に言われたら怒り出しても不思議ではない。しかしいま、「出版社」は何のためにあるのかという議論は、E-Bookが市場の2割を越えた国ではますます活発になっている。もちろん余裕があるわけではない。自主出版こそ出版の来の姿であるとすれば、出版社は出版にどう関わればいいのか。 タイタニックからインターネットの海へ 歴史的にみても、出版はそれに関わる人々にとってつねに一大プロジェクトだった。出版社が屋だった江戸時代の出版活動を描いた『江戸の屋とづくり』(橋口候之介著、平凡社)を読むと、現代の物価に換算して、やはり数百万円ものコストがかかるプロジェクトを支えるサプライ・チェーンをめぐる知恵と苦労がよくわかる。リスクを誰が取るか、ど

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2012/02/04
    ここにきてアジテーションになっているのはちょっと残念だけど、問いかけとしてはポイントを押さえてあると思う。
  • 米国にもある“自炊代行”:Bound Book Scanning – EBook2.0 Magazine

    電子版が入手できないをデジタル化してE-Readerで読みたいというニーズは普遍的なもので、「自炊代行」はどこにでもあるはずと考えているが、ニューヨーク州エアマウント市にあるBound Book Scanning (BBS)は、一般消費者向けに非破壊型(non-destructive)スキャニング(画像PDF)とOCRを使った編集可能ファイル(Word/TXT/RTF)、オーディオファイル作成までを行う。2010年に創業した新興ビジネスだ。 現在、有償で100万点、無償は200万点ほどがE-Bookとして営利/非営利サービスで提供されているが、もちろんこれはこれまでに蓄積された膨大な刊行書籍の一部に過ぎない。BBSは、そうした“未電子化”を対象に、主に個人が所蔵するのコンテンツを電子ファイルに変換して提供するサービスだ。業務用ではなく個人用にフォーカスしたスキャン代行はそう多くないよ

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2012/01/06
    こりゃまた
  • アマゾンは出版社の敵か味方か:もう一つの見方

    アマゾンはKindleの日開店を延期(EB2 Magazine, No. 2-15)したようだが、難航する交渉の背景には、出版社の抜きがたい警戒心がある。デジタル時代をひた走り、すでに比率が20%を超えたと思われる米国でも、最大の書店アマゾンに対する警戒、あるいは憎しみは高まっている。アマゾンは出版社にとって何なのか。これまで大手関係者の声ばかりが伝えられてきたが、そればかりを聞いていては認識を誤るだろう。 今年も欧米出版界の最大のキーワードは「アマゾン」だった。アマゾンはKindleをばら撒いて価格破壊を進め、図書館に貸し出し、街の書店を“ショールーム”に使って顧客を奪い、有名作家と独占契約して出版事業を立ち上げた。著作権者と消費者以外のエコシステムを無視するかのような行動は、プレデター(捕者)のように言われることが少なくない。しかし、アマゾンは同時にデジタル出版市場を創造し、自主出

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2012/01/01
    「アマゾンは少なくとも小出版社の味方である」→アマゾンは出版社の敵か味方か:もう一つの見方
  • 出版コンテンツ論 (3):サービス指向E-Book

    昨日の記事に多くのアクセスとコメントをいただいた。次回以降で、コンテンツ自体のソシアビリティを実現するモデルと出版社/編集者の仕事について考えていきたい。問題の組立て方が間違っていなければ答は見つかるはずだ、というのが筆者の信念でチャレンジしているが、ご協力いただければ幸い。そこで分かりやすくなるように図で表現してみた。サイトが目指す “E-Book 2.0”の性格を「サービス指向E-Book」あるいはBook as a Service (BaaS)と呼ぼうと考えている。 印刷書籍 構造と表現と意味を物理的にパッケージ化し、かつ商品としての実体性、可用性、流通性を兼備したという意味で完全なものと言える。多くの人が愛着を持つのは当然だ。しかし、相対的に実用性、入手性が低下しているので、採算は悪化し、もはや「普通のを普通に」制作して売っていくことでは継続できない状態に陥っている。 プラット

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/12/13
    「ソシアビリティの拡張」がプラットフォームへの依存度を下げる→出版コンテンツ論 (3):サービス指向E-Book
  • 出版コンテンツ論 (2):E-Bookのソシアビリティ

    コンテンツは社会的概念であり、コンテンツがコンテンツであるためにはコンテクストを実装する必要がある。コンテクストの提供(社会化機能)をクラウドプラットフォームに依存している現在のコンテンツの形態は、出版社にとってまったく不利なものだ。印刷が持っていた、実体としてのオーラが失われつつある現在、出版社はE-Bookのユーザビリティを通じてソシアビリティを高め、読者との間のインタラクションを構築する必要がある。つまりをソーシャルメディアとするのだ。 現在のコンテンツは環境に過度に依存している コンテンツは質的に意味と構造と表現という3つの要素を持っている。コンテクストは、著者や発行者、読者が必要とするコンテンツのソシアビリティ(社会化属性)を明示化するものということができる。ごく基的なものは表題や著者、発行者などの書誌事項で、これはコンテンツと不可分のものとなっている。紙のの編集におい

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/12/12
    「出版社が独自の編集・出版技術のベースをつくるのに与えられた時間は、およそ1年、長くて2年と見ている」→出版コンテンツ論 (2):E-Bookのソシアビリティ
  • 出版コンテンツを考える (1):とコンテンツ

    「コンテンツ」は、具体的な形をとり、流通して初めてコンテンツとなる社会的、関係的な概念であって、これで商売をするためには、「中身」よりもよくよく形態や機能を考えないわけにはいかない。価格についても、権利についてもそうだ。そこで具体的なプロセスと機能の面から、流通するための条件を考えたいわけだが、漠然とした言葉だけに、これまで不用意に扱われ、あまりに多くの錯覚、倒錯を生み出してきた。まずこれを脱神秘化しておきたいと思う。 コンテンツは裸の王様である コンテンツは「中身」を意味する。では外身とは何か。中と外は何で区別されるか。E-Bookに付いているスタイル指定はどちらだろう。コンテンツのアイデンティティはどうやって識別…。などくどくど言うと嫌われるのだが、こうしたことは、コンテンツを管理したり流通させたりする上では、最初に考えておくべきことだ。でないと棚の配置も考えずに図書館をつくろうとする

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/12/03
    自炊の下りは若干引っかかるけれど、「コンテンツは裸の王様」とは上手い言い方だと思いました。
  • 出版社はプラットフォームをどう使うか

    Amazon契約書に出版社員が激怒『論外』」(BLOGOS, 10/29)という見出しを見て、つくづくこの国には交渉の文化がないなと思った。アマゾンが郵送してきたものは提案にすぎない。極度のストレスでパニックを起こしかけている出版社関係者へのアプローチとしては感心できたものではないが、出版社の皆さんには頭を冷やし、内外の専門家からも情報を得て、必要な時間をかけて考えていただきたい。これは業界にとって未曾有の事態かもしれないが、外の世界では異常ではなく、したがって一時的でもなく、終わりにすることも出来ないのだから。 未知との遭遇 コミュニケーションのスタイルが国や文化圏によってごとに違うのは当然だが、ビジネスの世界はかなり平均化されてきた。しかし日はそうではなく、業界ごとに慣習は違うし、新人はそれを叩き込まれ、またそれに誇りを持っている人も多い。出版は(他の規制産業と同様に)ほとんど無風

  • E-Book再考(2):フォーマットは組版だけでない

    前回、E-Bookはコンテンツとデバイス-クラウドを連携させる一連のサービス・システムとして成立すると述べた。これを出発点として、今回は昨年来大きな話題となってきた「フォーマット」問題を考えていきたい。ここでは日語組版ばかりが注目されたのだが、E-Bookをサービスとして見るならば、ビジュアル表現のフォーマットは基的ではあっても一部である。EPUBの日語拡張でひとまず決着がついた現在、ビジネスにとって重要なシステムのフォーマットについて再考してみる必要がある。(図は空港システム) 前回記事の反響にはすこし驚いた。誤解を避けるために、読みづらくなるのを覚悟で「定義」の話から始めたのだが、多くの方に意図を理解していただいた。筆者が「定義」を重視するのは、言葉によるコミュニケーションの前提として、対象の意味を正確に共有していないと、考えるという行為が成り立たないからだ。E-Bookのような

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/10/19
    E-Book再考(2):フォーマットは組版だけでない
  • EBook2 Magazine (Vol.2, No.1, 9/22) +Review

    You are here: Home / 出版のテクノロジー / Data Format / EBook2 Magazine (Vol.2, No.1, 9/22) +Review 「電子書籍の世界規格上陸、国内出版界は正念場」という新聞の見出しで驚いたのだが、EPUBは日の市場のニーズを反映すべく、日のメンバーによって策定されたもので、外国勢力の日攻略の武器として「上陸」するものではないし、ましてそれによって出版界が正念場を迎えるようなものではない。それに、EPUB 3は5月23日の「提案仕様」で事実上確定しており、ツールやアプリの開発者はすでにそれを前提に開発を進めている。いい加減に大時代な表現は止めて欲しいものだ。 出版社にとってのEPUB 3の10の効用 (よい)標準は、たえず修正され、進化する。採択された途端に、改訂の作業はスタートすると言ってよい。HTMLなど、ベースとす

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/09/26
    読売の中の人に読んで欲しい→EBook2 Magazine (Vol.2, No.1, 9/22) +Review
  • EBook2 Magazine (No.41, 6/30)

    『ハリー・ポッター』は、日ではもっぱら映画という扱いだが、これはCMの露出量による。それでもシリーズで2000万部近く売れているので、出版物としてそれなりの扱いをされてもいいようなものだが、そうでないのは小出版社で販促もあまりやっていないからだろう。今回の、著者自身によるE-Book販売計画の発表も、あまり大きくは取り上げられなかった。この作品は、出版業界からはあまり祝福されない「不都合な真実」であるかのようだ。しかし、無視しようとしまいと、『ハリー・ポッター』は業界を困惑させる存在であり続けている。 『ハリー』の魔法はWeb上で発揮される 出版社は、「優れた」作品を「世に出す」崇高な任務と能力を自他ともに許しているが、『ハリー』はほとんど出版社の世話になったことがない。しかし、J.K.ローリング女史は例外的な存在なのではなく、むしろインターネット時代の「自主」作家のパイオニアであること

  • [寄稿] 雑誌の解体と再生/小笠原 治

    E-Bookの場合は、単純に売上が伸びて出版事業を支えるようになれば問題の大半は解決するのだが、複雑なビジネスモデルの一部として成立し、消費市場を前提に存在してきた雑誌は、それだけではすまない。困ったことに、活字文化の多様性を体現する雑誌は、特異な位置を占めてきた。書籍とのインタラクションも重要な役割だ。日の場合、雑誌の衰退は、欧米以上に出版全体における意味が大きい。MEDIVERSEの小笠原治氏は、雑誌再生のカギを握るビジネスモデルを5つに整理し、検討を加えている。Forumでの今後のディスカッションの出発点として掲載させていただいた。 一般社団法人メディア事業開発会議(MEDIVERSE) 代表理事 社団法人日印刷技術協会(JAGAT) 客員研究員 小笠原 治 問題提起 20世紀の日人のライフスタイルは雑誌やTVというマスメディアが作り出してきた。両者はよい補完関係にあって、TV

    a_matsumoto
    a_matsumoto 2011/06/25
    雑誌再生のカギを握るビジネスモデルを5つに整理
  • EBook2 Magazine (No.39, 6/16)

    講談社「五木寛之ノベリスク」の記者発表は、様々な点で日のE-Bookについて希望を持たせるものだった。それは作家が主役として登場し、電子化の意味について自ら語り、それを出版人が支える姿勢を見せたからだ。これまで日では「紙か電子か」という不毛な議論に終始してきた。20年前の「日語ワープロ騒動」を想い起こさせるほど、出版旧世代のデジタル・アレルギーはなお根深く、虚心坦懐に技術と向き合うことが出来ないので、それを来あるべき方向に導くことが出来ない。出版は何より作家と読者がいて成り立つ。自炊など、恰も読者にで焚き火をさせて胸を痛めないようでは出版社は不要だ。 米英はデジタルに向けて確かな一歩を踏み出し、電子化の社会的・経済的・文化的意味を鮮明にしている。T.S.エリオット『荒地』のPad版は、デジタルではければ不可能な企画で、作品世界に迫っている。これが14ドルで出版できたのもオンライン

  • ソーシャルネットワーキングの自己表出性

    私はユーザーの「自己表出」プロセスと呼んでいるのだが、人々は今日、現実の状況とデジタル世界の関係性の両方において、過去の経歴や現在の経験について第三者が可視化し、記録するのを認めることで、彼自身の自我、または推定自我(presumed self)の一端を明示化している。[ロベルト・ジカーリ/欧州版編集、原文はこちら] 任意の時点より前に起きた事柄について、人々が経験することになる学習的(learning-oriented)状況を、私は背景経験(background experiences)と呼ぶ。背景経験というのは、ユーザーの振る舞いや判断プロセスを考える際に有効な概念だと思われる。今日、個人の背景経験はデジタル世界において生まれ、電子的に追跡可能な形(traceability)として記録されているのだが、これを電子的痕跡(digital trace)と呼ぶことにする。それと対をなすものと

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