ネットワークを通じた音楽配信ビジネスが世界各地で確実に存在感を増してきた。米国ではiTunes Music Storeが1億曲目のダウンロードを突破したし、英国、フランス、ドイツで始まった同サービスは競合サービスの16倍に上る快調なペースで音楽配信を続けている。一方日本ではこのiTunes Music Storeは商習慣の違い、法整備の遅れ、既得権益をもつ業界同士の対立などから参入を阻まれたまま、膠着状態が続いている。 新しいデジタル機器の登場に完全に取り残された法令 ネットを通じての音楽配信を阻んでいる法整備の遅れはあらゆる方面に及ぶ。なかでも目立つ端的な例が「私的録音補償金制度」。この制度は個人で音楽を楽しむ目的でMDなどのデジタル録音機器に楽曲をコピーすることを認める代わりに、権利者(作曲家や作詞家などの著作権者、歌手や演奏家、俳優などの実演家、レコード製作者)に対して補償金を支払う