日本の「中国ウォッチャー」の中で、「聖地」と呼ばれている場所が、愛知県豊橋市にある。愛知大学東亜同文書院大学記念センターである。東亜同文書院は、戦前の上海に日本が設立した、いわば「中国ウォッチャー」養成大学だ。 記念センターの元センター長であり、『日中に賭ける 東亜同文書院』(中日新聞社、2012年)の著者でもある藤田佳久・同大学名誉教授(83歳)に話を聞くため、同センターを訪れた。外は驟雨と暴風が吹き荒れる中、藤田氏は約2時間にわたって、同センターを案内しながら解説してくれたーー。 日露戦争中に建てられた豊橋初の洋風建築で 東海道新幹線で、東京から名古屋へ着く手前に位置するのが、人口40万人弱の豊橋である。駅に降り立つと、傘も差せないほど大荒れの空模様で、車はジグザグ走行を余儀なくされながら、ようやく愛知大学に到着した。 大学に並行して鉄道線路が敷かれており、構内は荘厳とした雰囲気だ。悪