2012/8/239:0 尊厳死法案の問題点〜法律家の立場から〜 青木志帆 第1 はじめに 今、医師と患者が尊厳死を選択することを保障する法律が国会に提出されようとしています。「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(以下、「尊厳死法案」といいます。)」です。この法案の是非をめぐり、日本尊厳死協会、障害当事者、難病患者、宗教界、法曹界などで激しく議論が交わされています。ただ、この議論が広く一般化されているかというと、必ずしもそうではないように思います。 「生命」を左右する法律であるにもかかわらず、ほとんど注目されずにその採否が決定されてしまうのは、法案の是非にかかわらず問題でしょう。そこで、現在の議論状況を整理した上で、主に法律的な見地から、この法案がどうあるべきなのかについて考えてみたいと思います。第2 尊厳死法案に関する議論の争点整理 1 尊厳死法案とは まず、「尊厳死」