出光興産の微生物農薬が、脚光を浴びている。これまでも微生物を使った肥料で実績はあったが、「農家の関心は生産性向上より害虫を予防、駆除できる農薬にある」(アグリバイオ事業部の坂井昌和担当課長)とニーズをいち早くつかんで研究開発に着手。2008年1月、納豆菌を使った「タフブロック」の名称でイネ用の農薬を商品化した。イネの種子が発芽する際に、消毒液として使用することで「いもち病」など5種類の病気を予防できるのが特徴だ。 食の安全、安心への関心の高まりを受けてスーパーや外食産業が農業分野へ参入したことから、出光の微生物農薬の販売は好調だ。自前で安全な野菜を作るため、低農薬や化学肥料の代わりになる生物農薬への関心が高まっているからだ。自然界にある微生物を使えば、土壌の改善にもつながる。今年度の販売目標は作付面積ベースで08年度の4倍に相当する8万ヘクタールに拡大、数年後に50万ヘクタールを目指す