農家の平均年齢が67.8歳と高齢化の進む農業界にあって、若手の参入が多いのが有機農業だ。新規就農者のうち2割は全作物で有機農業を行っており、一部の作物で有機を手掛ける者まで含めれば3割近い。耕地面積でみるとわずか0.5%(2018年)の有機農業に、若手が集中する構図だ。その実、有機農業での新規参入は有機以外に比べ、売上や所得が低水準になりがちで、生計が成り立つまでの年数が長い。若者が憧れる有機農業はなぜ難しいのか。その実態をルポする。 指導できる人材がいない 「有機農業は、絶対に必要なものだ。けれど、統一された栽培の指導法もなくて、なかなか難しい。若い人が有機で就農しても、3年くらいでほとんど辞めていくのは、もったいないね」 こう話すのは、山梨県北杜市でキャベツやレタスなどを栽培する梅津鐵市さん(72)だ。1980年に脱サラして就農し、出荷先のニーズに合わせて、通常の慣行農業(化学肥料や農