食中毒というと、このシリーズでもご紹介した「カンピロバクター」が、感染者数も多く、よくその名を耳にする病原体ですが、ノロウイルスによる食中毒もよく耳にします。ことに、気温が低下する秋口から春先にかけて、感染のピークがあります。 代表的な感染源としては、カキなどの二枚貝が挙げられていますが、この感染のピークを見せる冬場は、カキの美味しい時期でもあります。ノロウイルスの感染源は、カキのことが多いため、「カキの消費が増えるから、冬に流行する」と思いがちです。しかし、この時期の流行には、このウイルスの特徴に加え、感染源となるカキ(二枚貝)の生態が大きく関わっていました。 『最小にして人類最大の宿敵 病原体の世界』を執筆された微生物学者の旦部幸博さんと北川善紀さんの解説で、病原体たちの「見事な」までの戦略、生態をご紹介するシリーズ。今回は、これからの季節に注意したいノロウイルスについて説明します。
![ありがたくない冬の風物詩「ノロウイルス」寒い時期になぜ流行る?(旦部 幸博,北川 善紀)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/d247f44af619be0b2406c232746b68778bc43ad6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F2%2F7%2F1200m%2Fimg_27dd78ef7a962dc1dd90e5493e00ba81197959.jpg)