慶應義塾大学経済学部教授の松沢裕作氏による新書『歴史はこう考える』(ちくま新書)が、9月9日の発売直後に重版が決定するなど、歴史好きの間で話題となっている。 同書は、史料をひたすら読み込んだり、あるいは過去の出来事の是非について論争したりといったイメージが先行する歴史学者たちが、実際にはどんなプロセスを経て研究をしているのかを、さまざまな論文の例を挙げながら著した一冊だ。 昨今のSNSなどでは、歴史に関しての論争が繰り広げられることが多く、特に「なにが事実か」を巡ってぶつかり合うケースが目立つが、松沢氏はそのような論争の前に、まずは歴史学のプロセスを知ることが重要だと説いている。その真意について、詳しく語ってもらった。(編集部) 松沢裕作『歴史学はこう考える』(ちくま新書) ――本書『歴史学はこう考える』は、早くも重版が決まるなど、大きな反響を呼んでいます。 松沢裕作(以下、松沢):こんな