令和3年6月7日 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 計算化学を駆使して地衣類が放射性セシウムを保持する謎に迫る ―量子化学計算が明らかにする地衣類代謝物の放射性セシウム錯体形成力― 【発表のポイント】 地衣類とは、藻類と共生している菌類の総称で、岩の表面、樹木の幹、家屋の壁、コンクリート等至る所に生育しています(図1左)。地衣類は放射性セシウムを長期間にわたり保持することが知られていますが、その詳細な機構は分かっていません。このような性質を持つ生物は少なく、その謎の解明は重要な研究対象となっています。 日本原子力研究開発機構と国立科学博物館は、地衣類が合成する代謝物の一部が放射性セシウムの保持に関係すると考え、福島県内で観察されるウメノキゴケやキウメノキゴケなどの地衣類が産する5つの代謝物とセシウムが作る錯体(※1)形成力を世界で初めて量子化学計算(※2)手法を駆使して求めることに成