11月某日、N編集長に突然声をかけられた。 「キミ、ガンプラ作ったことある?」 ――はい。 「じゃ、これ」 取り出した紙に書かれていたのは、「PG 1/60スケール ダブルオーライザー」という言葉。PGといえば、数あるガンプラの頂点に立つ「パーフェクト・グレード」。1/60スケールに内部骨格から稼働部位など細部にいたるまでリアリティを追求し、さらに劇中の演出をLEDなどのギミックを使って再現するという“究極のガンプラ”である。しかも、ダブルオーライザーは12月発売の新製品だ。 聞けば、新製品のプロモーションを兼ねたメディアごとのサンプル制作に参加するという。つまりは会社代表としてPGに挑むことになるのだが、入社1年目の新人(しかも営業部)に、なぜそのような大役が回ってくるのか。 「キミ、学生時代は『鳥人間コンテスト』に毎年参加して、入賞歴もあるって話してたじゃない」 面接で余計なことを口走