学校法人・東洋英和女学院(東京都港区)が、学界や論壇で受賞を重ねる深井智朗(ともあき)院長の著書に「研究活動上の不正行為の疑いがある」として、学内調査委員会を設置することが9日わかった。深井氏が引用した神学者の論文の存在が確認できていないという。 問題の著書は「ヴァイマールの聖なる政治的精神――ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム」(岩波書店、2012年刊行)。4ページにわたり、「カール・レーフラー」という名の神学者が書いたとされる論文「今日の神学にとってのニーチェ」に基づいて論考が展開されているが、当の論文の書誌情報は示されていなかった。 これに対し、北海学園大の小柳敦史准教授(ドイツキリスト教思想史)が3月、日本基督教学会を経由し、公開質問状を送った。「暫定的」とする回答が深井氏から学会に届いたのは7月2日で、9月25日付の学会誌「日本の神学」にあわせて掲載された。 それによる