両備グループの瀬戸内観光汽船(備前市日生町寒河)が休止を表明していた日生港(同所)と香川県小豆島の大部港(土庄町大部)を結ぶ定期フェリーが30日、運航最終日を迎え、長年利用してきた乗客らが別れを惜しんだ。 フェリーは乗客500人、車65台を収容でき、1日4往復する。関西からの観光利用が中心で、この日午前10時半ごろ日生港に到着した便には団体旅行客が降りてきた後、神戸や姫路、京都ナンバーの乗用車や大型バスが乗り込んでいた。 小豆島の祖父母に会いに行くため、よく乗ったという神戸市北区の主婦(30)は「家族との思い出がたくさん詰まっている。なくなるのはさみしい」と目を潤ませた。 フェリーは50年以上にわたって運航してきたが、近年は小豆島と神戸市を結ぶ他社航路との競合や新型コロナウイルス禍により運輸収入が激減。そのまま客足が戻らず、同社が5月に国土交通省中国運輸局に休止届を提出していた。