❄️🎼 冬待人 written by のる❄️ 明るい月が空にあって、 雪の光と照り合っている庭をながめても、 院の御在世中のことが目に浮かんできて 堪えがたい気のするのを源氏はおさえて、 「何が御動機になりまして、 こんなに突然な御出家をあそばしたのですか」 と挨拶を取り次いでもらった。 「これはただ今考えついたことではなかったのですが、 昨年の悲しみがありました時、 すぐにそういたしましては人騒がせにもなりますし、 それでまた私自身も取り乱しなどしてはと思いまして」 例の命婦《みょうぶ》がお言葉を伝えたのである。 源氏は御簾《みす》の中のあらゆる様子を想像して悲しんだ。 おおぜいの女の衣摺《きぬず》れなどから、 身もだえしながら悲しみをおさえているのがわかるのであった。 風がはげしく吹いて、 御簾の中の薫香《くんこう》の落ち着いた黒方香《くろぼうこう》の煙も 仏前の名香のにおいもほの
![【源氏物語241 第十帖 賢木53】源氏が中宮に突然の出家について尋ねる。中宮は、前々から考えていたことを 命婦を通じてお答えになった。 - 源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/831265ebac03db63d966649b66d6b86c1d01ebca/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fs%2Fsyounagon%2F20230406%2F20230406151747.png)