作者:ハーラン・エリスン 出版:ハヤカワ文庫(1979/1/20) 初出:1971 ジャンル:SF 評価:9/10 ここには、おもしろいものから、よくわからないもの、若いものから出来上がっちゃったものまで、幅広い作品が収められている。しかし、いくつかの作品からは共通する明確なテーマが読み取れる。それは、当時の政治システムへの怒りと、安定/停滞だけを目的とし規格外のものを排除する社会への批判である。そして、そんな鼻持ちならない世界を何とかしようと思うのだがどうあがいても何も変わらない、そんな焦燥感、絶望感が色濃くあらわれている。 この短編集のタイトルにも選ばれた『世界の中心で愛を叫んだけもの』では、規格に合わないものを排除し、刺激もなく生き延びることだけを目的とする社会を批判し、さらに自分たちの生活の安寧のためには他の世界の暮らしなど省みない社会を批判する(これはつまり、当時の代理戦争のこと