エリー・デューリング(哲学)+清水高志(哲学)+柄沢祐輔(建築家) 左から、エリー・デューリング氏、清水高志氏、柄沢祐輔氏(《s-house》にて) オブジェクトの中のプロジェクト ──反プロセスとしてのプロトタイプ論 柄沢祐輔 ──今回の鼎談では、来日中のエリー・デューリングさん、清水高志さんと、哲学と建築の関係性の今後について考えたいと思います。いわゆるポストモダン哲学が終焉し、代わって今日ではブルーノ・ラトゥールの哲学のような議論が台頭してきました。ブルーノ・ラトゥールはハイブリッドと純粋化という議論を軸に、世の中のものは本質的には複雑なネットワークを成しており、ラトゥールの言葉では「ハイブリッド」が正体であるにもかかわらず、近代という時代では、そのハイブリッドなネットワークを隠蔽し、ひたすらある枠組みのなかでの純粋なものを求めてきた。私たちは純粋化をし続けてきた。デューリングさん