(前篇より続く) 犯罪者にも会ったし、怖い体験もした。取材を通して人間を知ることが出来た ――さきほど19歳の時から小説を書いているとのことでしたが、きっかけは藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』(1995年刊/のち講談社文庫、角川文庫、文春文庫)だったんですよね? 塩田 そうですね。それまでは漫才とか演劇という形で、エンターテインメントを作って生きていくことを考えていて、小説がそれにあたるという発想がなかったんですよね。でも、教習所に通っている時にたまたま待ち時間に『テロリストのパラソル』を読んで、時間を忘れてしまって。時間を奪ったということのすごさと、持ち運びがしやすいことを考えたら、もう無敵やないかと思いました。そこでもうその日から小説を書き始めたという。 ――ただ、卒業後は神戸新聞社に入って記者になられたんですよね。 塩田 もう詐欺師みたいなもんですよ。19歳の時から小説家になり